レザークラフトのカービング 基礎(1) – トレース編

こんにちはSchritt und Tritt略してSuTです。

ここのサイトはレザークラフトのライターとして「技術の五助屋レザー」「女子力の皮革工房 凜」「アイデア抜群のロミ子」(SuTの個人的な見解)というカリスマ性溢れるクラフターが名を連ねとるのでいろんなアイテムの作り方とかその辺はお三方に任せます。私の出る幕じゃねぇ。

SuTは具体的な作り方とかではなくて「何かを作る際に知っとくと良いね」というちょっと微妙な世界をピックアップして書いていこうかと思っています。住み分け図ってる姑息~とか言うないwそのとおりじゃいw

よろしくでーす。

さてレザークラフトのハンドメイド作家の中にはカービング(彫刻)をする人もたくさんいるよね。革にカービングするのはなんてアーティスティックな行為だろう(うっとり)。

Fl.bカービング名刺入れ
SuTもやるよカービング。

カービングは「原画」→「トレース」→「革へ罫書き」→「カット」→「打刻」と同じ図案を何度もなぞる。
なぞるたびに原画からズレる危険が伴うのでなかなかこれに苦労している人が多いよね。
その原因は実に様々あるのだけど、ちょっと考え方を変えれば簡単に上手くいくことがたくさんある。今回そんなちょっとしたコツの一つをご紹介したいなと思います。

 

トレースが苦手

いろんなクラフターと交流していてよく耳にするのが原画からトレースするのが苦手という声。おいおい、一発目の「なぞる」行為でもうダメジャンwww
どんなに丁寧になぞってみても、0.2mmとかの極細ペンを使用してみても、トレーシングペーパーを固定しても、どうしても原画と違う感じになっちゃう。そういう体験皆様ありません?見てるとね、あ~うん、叫びたくなっちゃうね・・・

そーりゃーそーうーだぁぁぁ(」°ロ°)」


どんなに注意しても原画と違ってしまう原因は己の不器用さでもペンの細さでもペーパーがズレたわけでもないのです。違うんだよ見るところが。
だから何やっても一向にトレースが上手くならないと悩む人が多いよね。さぁ、考え方を変えてみよう。

 

「線」というモノは存在しない

原画の線
厳密に言えば「線」というモノは存在しなくて「線」と思っているものは「細い面」なんだよね。言ってみれば既成概念ってやつだね。そんなものゴミ箱にポイしましょう。捨てなはれ(゚Д゚)ノ⌒*ぽーい

トレースが苦手な大抵の人はこの「線は細い面である」ということを意識できていないのだとSuTは思う。これを理解していればべつに極細のペンなんかなくても普通の太さのペンでキレイにトレースすることはできまする。

どういう事か説明しよう(*”-”)b

 

普通にトレースしてみる

円
ここにキレイな正円がある。これをトレースします。分かりやすく極太のペンを使おうか。

線の上からトレース
普通に考えるとこんな風にペン先を線の上に押し当ててなぞるのでは?いいよいいよ~
なぞってるときはキレイになぞれてるように見えるよ。この写真も既になぞってあるけど、上手くなぞれているように見えるよね?じゃぁペーパーを外して見ようか。

 

トレースいびつになった
こうなるよね?なんかイビツだよね?ちゃんとなぞったよ?なんでだ?とこうなるわけだ。ペーパー外してびっくりだw

 

原因は?

トレーシングペーパーを重ねているときは分からないこの歪み。ちゃんと線をなぞれてても外すと違う原因は意外なところにあるんだよ。それを分かりやすくするためにトレース線の色を変えて原画の線と重ねたところをドアップで見てみたらこういうことだ↓

原画の線とトレース線のズレ
確かに線の上をなぞれてるけど常にど真ん中じゃないよね。常にど真ん中なんて至難の業だと思うよ。だから崩れるんだね。こんな風にズレたのにさらにズレて革へ罫書くわけだからもう目も当てられないw
どんなに気をつけても原画からズレるのはこの線の幅の中でカタチを捉えようとしているのが原因。ペンが太ければ太いほど揺れ幅は大きくなっていくからみんな細いペンでと考えるんだよね。細いペンならある程度制限されるからズレは少なくなるけど、結局このままじゃズレることに変わりはない。言ったでしょ?線は細い面であるのだと。

 

これで解決!

ならどうするか?私はこうするよ↓

円の外側をなぞる
円の外側をなぞる。なるべく内側に入らないように。若干入ってるけどw
線をなぞるっていうより円の輪郭を線の輪郭でなでる感覚かな?
さぁ原画をどかしてみようか。

 

キレイにトレースできた
ほら、結構キレイな円がトレス出来たしょ?

これは円の外側をトレースしたけど図案によっては内側をトレースした方が良い場合もあるよね。SuTは罫書きのラインが残るのが嫌なのでカービングする際を考えてベベラなどを打つ側にトレースするようにしてる。
またこれは図案の線を描くときスィーベルでカットするときにも言えることで、常に線の内側を見ているのか外側を見ているのかを意識して進めたいね。

 

文字カービング
例えばこんなちいさくて細くて複雑な文字のカービング。
トレースだけじゃなくスィーベルのカットやベベラ打ちまで文字の外側を意識してやる。やらないと文字がいつの間にか極細になって仕舞いにゃ消えてたりするw
みんな身に覚えあるでしょ?理由はもう分かるよね。線の幅の中でカタチを捉えようとしていたからなぞるたびに内側にラインが入り込んでしまって、特にスィーベルなんかはぶっといからそれだけカタチが小さくなってしまっていたんだよね。
だけど常に文字の外側に手を入れてれば消える事はないよね。原因が分かれば至極簡単な事だったわけだ。

 

まとめ

兎に角、線は細い面であるのだからどんなに細くても幅がある。その幅の中でカタチを捉えようとせずに線の輪郭でカタチを捉えるよう意識して描くといいよね。「どちら側をトレースするのか」をハッキリ意識して反対側にはみ出ないようにすればキレイにトレースできる。

こいつの利点は他にもあって、線をなぞる外側はいくらはみ出ても問題ない訳だから自分の手に合わない曲線だったり長いラインだったりと一気に線を引くのが難しい図案でも反対側にはみ出ないようにだけ意識して短い線を重ねながら少しずつ引けば良い。作業がものすごい楽になるよ。

今後の作業の際是非これを意識してやってみてくださいな。

あれ?これってカービングのトレースだけじゃなくていろんなところで使えるコツなんじゃ?
まあいいや。以上、トレース講座その1おわり!

 

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レザークラフトとグラフィックデザインと切り絵のSchritt und Tritt(略してSuT)です。 メインのレザークラフトは独自のスタイルと技法を追求してオーダーメイドを中心に制作。元石彫家という経歴だし職人的というより作家的なクラフターかな。 あとは個人をターゲットにグラフィックデザインやったり切り絵で遊んでたりするから自分をカテゴライズするのに正直困る。
[ レザークラフトのカービング 基礎(1) - トレース編 ]レザークラフト2017/06/01 01:59