どうもどうも、日本の果てからこんにちは。国境の島、対馬から召喚されました野北香織と申します。シーグラス・クロニクルというシーグラス屋さんをしています。宜しくお願い致します。
さて、今回はこの、すずなり~な感じの、きれいなヘアゴムの作り方、シーグラスビー玉のヘアゴムを作ろう!① [ビーチコーミング編]と題しまして、まずは自分でこのかわいいヘアゴムの材料を集めちゃおう!というお話です。
この綺麗な丸いもの、「シーグラス(ビーチグラス)」っていうガラス素材です。知ってる人は知っている、知らない人は全く知らないという微妙にニッチな素材なんですが、実はこれ、海岸で「ビーチコーミング」をすることによって、自分で拾い集めることができます。ええ、このきれいなまん丸い状態でポツンと落ちてるんですよマジで。
いちばん丁寧なサイトですから、ビーチコーミングやシーグラス(以下シーグラス)をご存知ない方に向けて、しょっぱなからむちゃくちゃ細かくレクチャーしていきますよ~。たぶん、シーグラスを拾ってるとほかの物にも目が行くようになるでしょうから、シーグラスに限らず、一般的なビーチコーミングの概要からいきます。
悪天候の中、シーグラスを拾う人atイギリス
ビーチコーミングとは
海辺には、様々なものが漂着してきます。それを、櫛ですく(コーミング)ようにして、隅々まで見てまわったり拾ったりすることを、ビーチコーミングと言います。また、ビーチコーミングする人たちのことを、ビーチコーマーと言います。元々は、無人島に漂着したときの生活資源として必要なものを拾ってくることを指す言葉だったらしいです。世界中に愛好者がいて、日本でも徐々にお金のかからない健康的な趣味として認知されてきています。
ビーチコーミングで得られるものは、人それぞれです。
コレクション
タカラガイやシーグラスなど、自分の好きなものがあればコレクション。推理、調査
見たこともないようなものに出会ったら、これは何だろうかと調べたり、どこからどうやって来たのだろうと想像したりするのも楽しいものです。工作
今回のように、拾い集めた流木やシーグラスなどの漂着物で何かを作ることもできます。行動範囲の拡大
それから、ビーチコーミングをきっかけにして、今まで行くことのなかった場所に出かけることになって、新たな発見をすることもあります。人との出会い
海辺にいる人や地元の人との出会い、同じ趣味を持つ人との情報交換や物々交換を楽しむこともあるでしょう。再会
昔のものが打ちあがってくることがありますので、キン消しなんかの子供の頃に見かけた懐かしいものに、時を超えて出会うことがあるかもしれません。メッセージ入りボトルを見つける人もいます。自然観察
頻繁に海に出かけ、細かく浜辺を観察することによって、今まで気づかなかった季節の移ろい、風や波の様子、浜辺の生き物についても知ることになるでしょう。運動不足解消
ビーチコーミングは、足元の悪い海岸を長時間歩くことになりますので、適度な運動にもなります。食料調達
たまに、漂着物じゃなくて食べ物が採れることがあります。ちぎれたワカメ、潮だまりにいるタコ、私は磯で生きたメバルを2匹拾ったことがあります。いやほんとに。でも、くれぐれも漁業権を侵さないように気を付けて下さい。証拠写真
※概要については海辺の漂着物ハンドブックを参考にさせていただきました。おすすめです!
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準備をしよう
行く場所を決める
地図やインターネットでどこに行くのかを決めましょう。事前にルートや駐車場を確認しておくと安心です。今は航空写真とかもありますので、新規開拓には便利な時代になりました。何を狙うかによって場所も変わってきます。一般的には、
貝殻・種子 → 砂浜
シーグラス → 砂利浜
流木 → 磯場
のような感じですが、一概に言えないのがこのビーチコーミングの奥深いところで、さらっさらの砂浜にきれいに研磨されたシーグラスが落ちていることだってあるんです。とにかく何度も通って傾向を掴む必要があります。年間を通じて、浜辺の様子は変わります。春先は海藻の打ち上げが多く、夏場は海が全体的に穏やか。秋から冬にかけては風も強くなり、海の中が大きく動いて比較的打ち上げも増えます。
このような変化を把握して、季節で狙うものや場所を変えるのも面白いかもしれません。
日程・時間を決める
どちらかというと風の穏やかな日がおススメです。ビーチコーミングは一年中楽しめますので季節は問いませんが、一日のうちでは潮が引いたときのほうが多くのものが拾えます。昼間に大きく潮が引く日を選んで出かけるといい(夜行く人もいます)と思いますが、天候にも左右されますので、当たりハズレは勿論あります。どうしても満ちている時にしか行けない場合は、狙うものや場所を変更してみたり、目先を変えてみるとそれなりに楽しめます。
潮の状態は、「潮見表」というもので確認できます。必ず、行く地域の潮見表で確認しておきましょう。
これは、対馬市のある時期の潮見表です。赤でマルしたところは、潮位がマイナスになっています。この値が低ければ低いほど、大きく潮が引きますよという意味です。
持っていくもの
基本、拾ったものを入れるビニール袋やバケツだけでいいです。あったほうがいいものは、カメラ・軍手・夏場はサングラス・帽子・日焼け止め・長袖の服・飲み物。冬場は防寒着。場所によっては長靴・スコップ・熊手・タオルがあったほうがいいこともあります。
注意点
体調の悪い時に行かない
途中で具合が悪くなっても、助けを求めにくい場合があります。意外と疲れますので、万全の体調で臨んでください。
特にお腹壊してると地獄を見ます。
危険なものに触れない
まれに、医療廃棄物の注射器や、劇物が入ったままの瓶などの危険なものが打ちあがっている時があります。絶対にT○KI○みたいに手を触れたり開けて匂いを嗅いだり飲んだりしないようにして下さい。危険な生物に触れない
イモガイの一種やカツオノエボシ、ヒョウモンダコなど、触れると危険な生物がいる場合があります。イモガイは種類が多くて判別が難しいですが、殻が薄くて生きているイモガイは要注意だと覚えておいて下さい。カツオノエボシは青くてきれいですが、死んでいても刺してくるので絶対に触ってはだめです。同じく青いカツオノカンムリやギンカクラゲも毒があります。
天候の悪い日に行かない
嵐の日や高潮の日には海辺に近寄らないようにして下さい。不意に大きな波が来る場合があります。小さなお子さんから目を離さない、置いていかない
お子さんと一緒の場合は、目を離さないようにして下さい。車中で眠ってしまった場合でも、短時間だからと一人にしないようにして下さい。【番外編】
密漁者に間違えられることがあります
漁師さんから何をしているのかと聞かれた時は、拾ったものを見せて、怪しい者ではないことをアピールしましょう。怪訝に思われるかもしれませんが、気にしたら負けです。不審者に間違えられることがあります
おまさりさんから呼び止められて、色んなことを根掘り葉掘り聞かれる場合があります。観念してハキハキ答えましょう。抵抗すると長引きます。
ビーチコーマーに人気の「シーグラス」とは
ここでやっと本題です。
ビーチコーミングをしていると、シーグラスに出会うことがあります。シーグラスとは、何らかの理由で海に入ったガラスが、割れたり波に揉まれたりして、丸く擦りガラスのようになったものです。
ガラス製品がプラスチック製品に取って代わられてからは、シーグラスも随分少なくなったようです。同じように見えても、よく見るとシーグラスは一つ一つ色も形も違います。また、浜によって拾えるシーグラスの形や表面の肌理が違います。
大きな石がある浜では大きなもの、小さな石がある浜では小さなもの、平たい石がある浜では平たいものが打ちあがる傾向にあります。
様々なガラス製品が存在するのと同様に、シーグラスも多彩なバリエーションを持っています。しかし多いのは緑がかった青(一升瓶?)白(牛乳瓶?)緑(ワンカップの瓶?)茶色(ビール瓶?)です。
このような色以外は、全てレアと言ってもいいと思います。中でも赤や黄色、オレンジなどの暖色系は特に貴重です。
模様入りのもの。
オレンジの影を落とすオパールガラス。
ブラックライトを当てると発光するウランガラス。
全く光を通さない、ミルクシーグラスと呼ばれるものもあります。
ビー玉がシーグラスになったものも時々見つかります。
・・・とまぁこのように、とても紹介しきれないほどに本当に色んなシーグラスがあるのですが、実際に探してみるとおわかりでしょうが、レアシーグラスというものにはなっかなか出会えません。まぁ、もちろんレアであろうがなかろうが、なんせタダですから、自分が気に入ったものを拾えばいいんですけどね。
でもなんだかんだいって、レアが見つかると嬉しいものです。自分で苦労して見つけただけに、拾った場所まで思い出せるほどに思い入れも強くなっていきます。先程紹介した中では、ビー玉シーグラスは比較的難易度の低いレアシーグラスです。根気よく海に通えば、いつかは出会うことができるでしょう。
今回はこのビー玉シーグラスを6つ使っていきますよ。
シーグラスはどこにある?
シーグラスはどこにでもあるわけではありません。特に人口浜ではほぼ見つかりません。
まず、自分の行ける範囲で、シーグラスが落ちている海岸を見つけましょう。
先程、シーグラスは砂利浜にあることが多いと書きましたが、飽くまでもそういう傾向にあるというだけで、一概に言えません。同じ地続きの砂利浜でも、こっち側にはいつもあるのにあっち側では見かけないとか、砂浜でいきなりゴロっとした大きなシーグラスが見つかるとかもあります。また、いつ行ってもシーグラス100%の成績を叩き出す浜があれば、ない時は全くなく、当たりハズレが激しい浜もあります。敢えて言うなら、砂利浜は成績が安定していて、砂浜は海岸の状況が変わりやすいので不安定です。とにかく色んなところに行ってみて、良さそうなところには何度も通うしかないです。
良い場所は人に教えてもらうのが一番早いのですが、基本的に漂着物は見つけたもん勝ち、早いもん勝ちなので、そう簡単には教えてもらえないかもしれませんね。
あと、シーグラスはずーーっと拾ってたら、いつかは枯渇します。拾わずに放っておいても、削れてだんだん小さくなって消えていく運命にあります。だからといって、瓶を海に投げ込むようなことはしないで下さいね。普通に不法投棄です。シーグラスになるまで何年かかるかわかりませんし、まず、回収できないらしいです。
シーグラスは単なるガラスですし、単なる素材と言ってしまえばそれまでなのですが、人工物ならではの物語を持っているのも良いところの一つです。これを読んで下さっているあなたが、実際に海でシーグラスを拾い上げて、何を感じて何を思ってそれをどうするのか、それもまたシーグラスの物語の一つなのですよ。
実際に拾ってみよう
だーん。
ここは、私がいつも行く海岸です。きれいに見えますが、ここはいわゆる砂利浜のゴミ浜です。
風向きや潮流で、ゴミがたまりやすくなっているところですね。シーグラスはぶっちゃけて言うと海のゴミですので、こういうゴミがあるところを狙うといいかもです。対馬ではこの漂着ごみが大きな問題になっています。そのお話はまた今度にするとして、ここは質のいいシーグラスが必ず落ちている浜で、ビー玉率は100%を誇ります。ビー玉は、普通はそんなに頻繁には拾えない貴重品です。
どうしてここで毎回ビー玉が拾えるのかはわかりません。憶測ですが、海の近くにハケ(昔のゴミ捨て場)があったのではないかと考えています。
ここではビー玉だけではなくて、ちょっと変わったガラスも多く拾えます。今日はあるかな~・・・。
シーグラス。
これもシーグラス。
レアだけどいまいちなシーグラス。
お!!あった!
ビー玉ゲット!!
このようにして、地道にビー玉を集めていきますが、通常はそう簡単にいかないと思います。
ここは確かに離島で人気も少なく、レアシーグラスが拾いやすい状況にありますが、本土でもビー玉が毎回拾える場所を知っていますし、探せばきっとあるはずです。
ビー玉の見つけ方
貝殻ばかり拾っているとシーグラスは見つからないし、シーグラスばかり拾っていると貝殻は見つけられません。
これは人間の脳の仕組みだと思うのですが、とにかく慣れが必要です。目が慣れてくると、たくさんの石の中からいち早くシーグラスを発見できるようになってきます。もうこればっかりは練習あるのみ、集中あるのみです。
ビー玉は、シーグラスの中でも形状が特殊で、普通のシーグラスと色や佇まいが違うので、少し見つけにくいです。
シーグラスに目が慣れると、輪郭が丸くぼうっと光ったようなものがさっと目に入ることがあります。最初はそれがビー玉だと認識するのに少し時間がかかりますが、そのうちそれにも慣れます。そうなってくると、他の人が見つけられないものも段々と見つけることができるようになってきますので、打率も上がります。
それから、ビー玉は球形をしていますので、小さな力で長い距離を転がります。波打ち際よりも、ずいぶん陸側で見つかることが多いです。波の中で行きつ戻りつしているところも見たこともありますが、やっぱりどっちかというと陸側が多い気がします。
というわけで、目をギラギラさせて、とにかくビー玉を集めまくりますよ。
ビー玉を集めてるうちについでに色んなものが気になったり拾っちゃうと思いますけど、それもまた楽しみの一つです。ビー玉のヘアゴム作りは、この集める作業が大半を占めると言っても過言ではありません。楽しんで集めて下さいね。
拾ってきたシーグラスの処理
塩がついていますので、ザルか何かに入れて水洗いします。あらかた汚れがとれたら、薄めた漂白剤に一晩漬けます。これで除菌と塩抜きができます。
もう一度よく水洗いして、乾かしておしまいです。砂糖をまぶしたみたいでかわいいですね。
海で拾った時のようなちゅるんと感がほしい人は、ハンドクリームを薄く塗ってみましょう。
ふー、ここまでたどり着くのも一苦労です。しかし!海に行くのがめんどいーとか、ビー玉なんて見つけられねぇよボケ、とかいう方に朗報!
シーグラス、ヤフオクとかで売ってます。ビー玉シーグラスも大体いつでも売ってます。
ここまで長々語っといて元も子もないこと言いましたけど、それもまた一つの手段として間違ってるわけじゃないんで、買いたい人は買いましょう!
次回、道具と穴開け編へ続く!
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