革に穴開けては縫うをただ、ひたすら続ける女、皮革工房 凜のりんです!
自分でも思うんですが、よく飽きないなーっと。そんなこんなで今日もトントン チクチク・・・。
普段の皮革工房 凜はオーダーメイドでお客様のご要望を取り入れた商品作りをメインで制作しているのですが、お客様ご要望で『スッキリとしたお財布』の制作をしたのですが、その際に取り入れた『スリットタイプのカード入れ』の作り方を知りたいと、読者様よりメッセージを頂きましたので、レクチャー記事を書かせていただきますね!
通常の革を重ねるつくり方の他に、スリット(切れ込み)を入れる方法を知っておけば、レパートリーも広がりますね。ぜひご覧くださいませ!
型紙
完成サイズ(2つ折り時):約 19.5 ㎝ × 10 ㎝
今回はカード入れの部分のみ詳しくレクチャーさせていただきますので、型紙はちょっと省略バージョンです。
仕切りなどを追加したい場合はお好みでパーツを追加して制作してみてくださいね!長方形の組み合わせなので、簡単ですよ(^^)
仮に、両サイドにカードスペースがあるお財布を制作の場合は、
● 本体:1枚
● カードスペース:2枚
● カードスペース(裏側用で穴あけナシ):2枚
● カード受けパーツ(後述します):2枚
こんな感じで準備が必要です。
カード入れの構造
まずは簡単に構造のご説明を。
カード入れは横から見ると、このような構造になっております。スリット(切れ込み)の裏側に裏地でポケットを作っていきます。
革の下準備
まずは革をカットしていきます。
いちばん上のパーツがスリットの部分です。切れ込みが入っているのが分かりますか?
このようになっています。
スリットの両端は小さな径のハトメ抜きで穴をあける事で、革が裂けずらくなりますし、見た目もキレイですので、ぜひあけてみてくださいね♪
コバ(切り口)を磨きます。
レザークラフトでは、こういう風に、『後から磨きにくくなる部分を制作する前に磨く』というのがポイントです。
仕切りのポケットを設ける場合はそのパーツもコバ(切り口)の処理をしておきましょう!
スリット裏側のパーツの下準備
『スリットタイプって切り込みいれるだけじゃ~ん♪ 簡単~!』っと思った方、ザンネーーーン!!!
スリットを入れるだけでは、カード入れ上部のカードがどんどん中に入り込んでしまって大変なことになります!
そこで、裏側にカードが落っこってしまわないように『受け』を作る必要があるのです。
今回、カードスペースは幅7cmで制作しておりますので、それよりも小さな幅で受けパーツを制作します。スリットの幅が5.5cmなので、それよりもすこしだけ大きい幅6cmになるように受けパーツを準備しました。
長さは、77cm。意外と長い布が必要です。計算方法は後述します。
布は解れてしまうので、端を折り返してミシンで縫いますよ~。
ダァ ダァ ダァ ーーー
ちなみに、裏側がむき出しになるわけではないので、3つ折りではなくて2つ折りでの処理を採用!
受けパーツ完成!
幅6cm×77cmのパーツです。こちらも計算方法は後述します。
(※今回制作した財布がカードスペースが2ヶ所ある為、パーツが2つあります。)
この布の準備結構大変だったんですが、どうにかならないかなー?っと考えていて、あとあと気が付いたのですが、こんなものでも代用できます!
幅広のリボン。
ミシンは無理だわ―という方やパーツ準備するの面倒だな・・・という方は使ってみてくださいね!
ちなみに、今回は布での制作をお伝えしておりますが、革でももちろん制作可能です。
ただし、レザークラフトで定番の1枚ずつ重ねて制作する構造と比較すると、折り返すことで2枚分の厚みが出てくるので、
薄く漉いた革での制作を激しくオススメします!
スリット裏側のパーツを折る
カードが中に入り込まないように、スリット裏側のカードを受けるパーツをこのように折っていきます。
(6.2cmというのがカードを入れた時の深さの部分になります。)
前述したパーツの長さ(77cm)は、上図の赤線と青線の長さの合計+2cmの接着部分×2(上と下)で計算しております。
カードを入れる枚数(今回は縦に5枚収納)と財布のサイズ(今回は縦19.5cm)によってバランスが良くなるように計算します。
計算が苦手な方はとりあえずこのサイズで試作をしてみて、微調整するといいかと思います。
まずは本体と接着する部分を適当なサイズでおります。(2センチ程度)
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一番下のポケットのスペースから作っていきます。
6.2cmの長さに切った厚紙をガイドにしながら
折ります。
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アイロンをかけてクセづけします。
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次は8.4cmのガイドに持ち替えて、最下のポケット~下から2番目のポケットにつながる部分を作ります。
ガイドをきっちり合わせて折ります。
アイロンでクセづけします。
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繰り返します。
6.2cmのガイドに持ち替えて折る
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アイロンでクセづけ。
’
8.4cmのガイドに持ち替えて折る。
’
アイロンでクセづけ。
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この後もポケットの数だけ繰り返します。
最後まで折るとこのようになります。
最後は6.2cm(短い方=カードポケットの深さ)以上になればオッケーです。
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折る作業が完了したらカードパーツ(革)を横に置いて、
カードを入れる切れ込み部分と布の受けパーツのバランスが正しいかチェックします。
ガイドだけでは少しずつ誤差が出てくる場合もあるかと思いますので、
よりキッチリ作られたい場合は、最初に布に折る目印の線を引いておくといいですよ♪
革とパーツを合体する
木工用ボンドやサイビノールを使用して革と布パーツを圧着していきます。
革のスリットの下の部分に平行に目印をつけました。『ここまで接着剤をつける』という目印にします。
画像左:上側 画像右側:下側
↑目打ちでけがく要領で線を引きました。
カードを入れる切り込みの下側に1センチ幅ほどボンドやサイビノールをつけます。
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布パーツの下側の約2cmの折り返し部分から貼っていきます。
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下から2番目の切れ込みの下側にボンドやサイビノールをつけます。
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圧着します。
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同じ要領で一つずつ上へ進めていきます。
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接着しているのが布の場合は接着剤がしみてくる場合があるので他の部分につかないように紙などを挟むといいです。
※紙がくっつかないように注意!
いちばん上は、切れ込みの上にもパーツを接着しましょう。
しっかり乾くまで放置します。
実際にカード入れてみてチェックします
主に、深さのバランスがおかしくないかをチェックします。
ビローンとするとこんな感じです。
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布パーツ接着後のカードスペース
表
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裏
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めくるとこんな感じです。
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カードパーツの仕上げ
カードパーツの裏側は布がむき出しになっているので、同じ大きさのパーツを重ねて仕上げをします。
このように同じ大きさの革を貼り合せる場合はパーツの周囲をボンドやサイビノールで圧着して、必要な部分を縫っていきます(※布の部分は接着しません。)
今回は革のかわりに裏も布にしました。
布の端が解れないように折り返してミシンをかけてあります。
布がコバから見えると美しくないので、革の端(ヘリ)を折り返して縫うという処理をしております。
ヘリ返し縫い(カードスペースのポケット入り口のみ)
(裏地も革の場合はヘリは返さずに表と裏を合体して縫うだけでオッケーです。)
マチをつける場合はこのようにするんですが、詳しい作り方は長くなりすぎるので省略します。(ゴメンネサイ)
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↑この記事の、おさらいですが、
縫うときは菱目打ちで穴をあけます。
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革の面に接着する際は、サンドペーパーで接着面を荒らすと接着力が高まります。
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最終工程の圧着の図。
このウッドピンチは、革に跡がつきにくいのでオススメです♪(※ただし、戦闘力弱め)
縫うときは針と糸(あたりまえ)、レーシングポニーがあると縫いやすいですよ~。
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完成
いろいろとスッ飛ばした感が否めませんが(笑)財布完成です!
スリットの部分の制作方法はお分かりいただけましたでしょうか?
長財布だけでなく、2つ折り財布、カードケース、スマホケースなどなど、いろいろな小物に応用が出来るので、ぜひ取り入れてみてくださいね!
以上、鹿児島からりんがお届けいたしました~バイバーイ。
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