石を使ったシルバーリング:パート2
ちゅ~感じで覆輪を使った石付きのシルバーリングを製作する流れを紹介する記事の第2弾となりますが、カット石用の覆輪を作る工程を紹介した記事、覆輪を使ったシルバーリングの製作工程を紹介した第1弾の記事、その2つの記事をご覧になった方であれば、具体的なイメージまでは持てないながらも何となく漠然としたイメージが少しばかり掴めたんじゃないかなぁ・・・って思います。
そんな事もないっすか?
地金メーキングには多くの基本的な技法や技術があり、それらのひとつひとつが独立したスタイルっていうか、それら多くの技術や技法のひとつだけを習得する事で何らかの特徴や方向性を持ったジュエリーの製作が可能になるから、それら様々な技術や技法を組み合わせちゃうと数え切れない程のバリエーションのジュエリーが生み出せちゃうんすね。
同じ技術や技法を使っても作り手の感性や好みなんかが出ちゃうのが地金メーキングの楽しさなんだけど製作しながらでもデザインの変更やアレンジができて、その過程で最初にイメージしていた完成形とは異なったデザインのものになる場合もあるんだけど、この覆輪を使ったシルバーリングを作ろうのシリーズで紹介していくリングは全て製作していく中で必要なパーツを作って組み上げていく感じっすから、ある意味で何となく作りながら考えるって事ができるじゃんね?
こうしたスタイルでのジュエリー製作は量産向きではなくてハンドメイドだからこそ製作できる「一点物」って要素が多いから、そりゃ~まぁ、製作していく中で思い通りにならなかったり、意図したデザインとは違ってきちゃたりする部分って少なくないと思いますが、お客さまからデザイン指定のあったジュエリーの製作や先にデザイン画を描き起こして、そのデザインに向かって製作していくような作り方とは違って即興的に感じた事や思った事を取り入れちゃえる分、遊びの要素が大きいんだよ。
ま、一応、参考って程度に完成した状態の画像も出していますが、同じデザインのものを再現する必要なんて何にもないっすから、もし参考にする事ができる部分があれば参考にしつつも積極的にアレンジを加えたり、逆に簡略化したりして欲しいなぁ~って思いながら書いているんだよ。
ちゅ~ような感じで、こんな感じのシルバーリングを製作するまでの流れになりますよ。
製作工程とポイント
今回はティアドロップとかペアーシェイプっていう雫みたいな形をした石を使っておりますが、雫型や多角形のような角があるフォルムの石を使った覆輪は楕円形とか丸い形をしたタイプよりも少しばかり形を合わせるのが大変っすね。
ティアドロップとかペアーシェイプの場合、雫型の尖がった部分、唯一の角に当たる部分がロウ付け箇所になり、そこでロウ付けされて完成した角部分の角度はロウ付け後には変える事ができないので、石の尖った部分の角度になるように注意してロウ付けしていきます。
これまで覆輪の作り方についての記事を書いてきた中では、基本的に石の形と大きさに合わせる事を意識してちょんまげ。って書いてきましたが、それは基本的な作業を習得して手順や感覚に慣れてもらう為であって、実際のところは石って必ずしも綺麗な形ではない、多少の歪みがあったり左右対称っぽく見えるけど微妙に違っていたりするから、ジュエリーとして完成した時に綺麗に形の良い石が留まっているかのように見えるようにする事が次に意識するポイントになってくるんだよ。
ちゅ~ような感じで、ペアーシェイプの覆輪を製作したら、その次に製作した覆輪のベースとなるリング部分を製作していくっす。
今回のリングデザインも「割り腕」の一種となりますが、リング全体が「V字」になったフォルムになってて、このフォルムもリングとしてはスタンダード、ベーシックなデザインとなります。
こうしたデザインのリングを製作する場合は、まずは展開図を描いて丸めた時のイメージと平面のイメージを頭の中で一致させるといいんじゃないかしら?
角線をローラーで引き延ばした状態から作成するならV字になるように曲げないといけないので余裕を持った長さが必要だし、ま、地金のロスは多いけど手堅く製作するなら厚みが2mmくらいの板材から展開図通りの形を糸鋸で切り抜くって方法でもいいっすよ。
このタイプのリングだとフォルムに対する意識ってよりもラインっていうのかなぁ・・・流れるような感じするのがポイントとなるから、曲線的な感じっていうか自然な感じになるように意識しながら製作するのがポイントっす。
ロウ付け箇所が無駄に増えないように次にロウ付けする箇所にロウ目がくるようにV字の中心がロウ付け箇所になっているね。
こうした骨組みを製作しながら組み上げていくフレーム構造のデザインって、とても自由性が高い上、任意で空間を生み出せるのが特徴なので、いろんな段階でバランスやデザインの修正ができちゃうんだよ。
覆輪っていう絶対的に必要なパーツとベースになるリングのフレームさえ決まっちゃえば、それこそ難易度を低くするだったら、そのままフレームに覆輪をロウ付けしちゃっても石付きリングとして一応の完成に持っていけちゃうじゃない?
ちゅ~ような意味でも製作工程や手順とかが分かれば、どこに着地点を持っていくのかは自由、複雑で手の込んだ感じにするのも簡略化してシンプルな感じにするのもどちらにも振る事ができるから、そこら辺は無理のない着地点を設定して少しずつ難易度を上げていくような感じでいいと思うんだよ。
ペアーシェープみたいなフォルムって左右対称にはできても上下は非対称じゃんね?
こういうタイプだとリングも石の形に合わせるような感じで、V字デザインにしちゃった方がバランスが取り易いし、逆にV字デザインのリングに楕円とか丸とかの上下左右の全てが対称になっているような形の石を使うのはデザインやバランスを上手く調整しないと変てこりんな感じになり易かったりするのです・・・
自由性が高いって事は良くも悪くも個性が出る、作風となって具現化されちゃうから、それって良し悪しだけじゃなくて好き好きって感じでもあるので、まずは自分的にいい感じになったなぁ~って思えるところを目指すといいっすよ。
覆輪が少し浮くような感じでリングに上下から支えるようにロウ付けした後は、装飾性を持たせつつもデザインやバランス等を考えながら割り腕の隙間から覆輪に向かう左右のパーツを製作していきますよん。
こうした少し石枠が宙に浮いたようなデザインは、爪枠の製作に近い原理となり、覆輪を爪留めするようなイメージでロウ付けの位置や高さや支柱に当たる爪のような部分の数を決めちゃって、ロウ付けする段階でポジションがズレちゃったりしないように少しテンションを掛けた状態で位置決めをするのがポイントです。
両サイドのデザインパーツは割り腕の枝分かれする部分から自然な感じで覆輪を支えるような感じになるように寸法や形状を決めて作成し、ロウ付けをする前に位置や角度を決めながらカーブや丸みを持たせておいてね。
そうしてロウ付けした時のイメージを考えながら製作した左右のパーツを最初にリングの腕部分にロウ付けし、その後に必要に応じて微調整しながら覆輪との接点をロウ付けしていきますよ。
大筋でのポイントは各パーツをロウ付けしながら組み上げていく中でロウ付けした後には位置的に低い場所や接点のような箇所のように仕上げができないところが何となく分かると思うので、後から手を入れにくいところはロウ付けの前の段階でペーパーの1000番くらいまでの仕上げをしておく事かしら?
ちゅ~ても、ロウ付けでミスったりしちゃうと台無しになってしまうから、この段階まで進んでいるなら、ここまでの作業にも増して丁寧に慎重にやってちょ。
このリングは最終的に正面からは見えない位置、側面からだと分かる位置に小さな爪枠を付けていますが、何か微妙に物足りないっていうか、何かアクセントが欲しいなぁ・・・って感じる時は、玉状にした銀のパーツや小さな石なんかを使ったりすると違った印象になりますよん。
立体的になった隙間の部分を磨く方法としては、細長く切り裂いたシルバークロスや何か適当な柔らかい綿?とかの紐(いい紙袋とかの持ち手とかに付いている柔らかい紐があるじゃない?)にWenolとかの研磨剤を付けて隙間に通してシュッシュッシュッって感じでリングを前後に動かしながら磨き込んでいきます。
この隙間の部分を磨き上げる作業は石留めをする前の方がやり易いので、石留めしちゃう前にやっておきますよ。
覆輪の支え方が弱いと石留めの段階で覆輪が変形しちゃったりするのですが、その辺りの感覚は実際にやってみないと分からないというか経験的に学ぶところなんで慣れるしかないっす。
同じように覆輪には支えとなっている爪のようなパーツがロウ付けされているので、そのロウ付け箇所よりも上の方を内側に倒し込んで石留めをする事になるので、あまり覆輪を深く嵌め込んでしまっていると上手く石留めができなくなってしまうから、その点も何度か製作してみないと掴めないかもしれません。
ちゅ~ような感じで、覆輪を使ったシルバーリングの第2弾では、石枠として少し難易度を上げたティアドロップとかペアーシェイプとかの雫型の石を使った事、リングとしてのスタンダード、ベーシックなデザインとなるV字タイプの説明をしてみましたよ。
ま、何度も書いてますが、最初にイメージした通りのデザインにならなかったとしても最初にイメージする事もできなかった素敵な感じ、少なくても出来映えに満足できるものになったとしたら、それって凄い発見だし進歩じゃんね?
どんどん視野を拡げていけるようにチャレンジっす。
ちゅ~感じで、ち~ゆ~。
ΘεΘ
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