鋳造という技術について
広義で鋳造という技術は大仏様や梵鐘のような大きなものを鋳型に流し込んで製作するものから香炉や花器のような鋳造品やジュエリー等の装身具や装飾品のような小さなサイズの鋳造品まで多岐に亘る技術となり、その歴史も古くから存在して日進月歩っていうかしら?
現在では工業用製品のパーツ等まで鋳造品は様々な分野で生産されて流通しているから、ぶっちゃけ、表面的なところを簡単な感じで紹介していくしかないんだよ、ごめんね。
これらの全てを細かく紹介や説明しちゃえるといいんすが、残念ながら鋳造される製品のサイズや素材や精度によって同じ技術をベースにしていても全く異なっている為、ここでは主に貴金属を使ったジュエリー等の装身具や装飾品の製造工程を紹介しながら、ちょ~アバウトな感じの知識として合金等を使ったアクセサリーの鋳造についての事もちょっとだけ触れたり触れなかったり・・・ま、その辺りは成り行きっすね。
ジュエリー等の装身具や装飾品の鋳造あれこれ
基本的に鋳造というのは予め何らかの意匠デザインや形状をした窪みを作った空間に熔解した金属を流し込む事で窪みに流れ込み冷えた金属が意匠デザインや形状に置き換える技術っちゅ~感じかなぁ。
この際、当然ですが融点の高い金属や大量の地金を溶解する必要がある大型のものを鋳造するには相応の作業スペースや設備が必要になる為、比較的に融点が低いシルバーやゴールド等の貴金属、小型サイズという意味では装飾品や装身具ちゅ~のがハードルが低い感じの鋳造技術となりますが、量産性や品質の向上、それに熟練の職人さんが少なくなってきている背景もあり、最近ではハイテクな鋳造マシーンが主流となりつつありんすよ。
ちゅ~ような背景はありますが、ジュエリー等の装飾品や装身具を製作する為のいくつかの鋳造方法を紹介していくっす。
サンドキャスト:砂型鋳造
もっとも原始的な鋳造技術で砂を固めて型を作り、そこに熔解した地金を流し込む方法ですが、砂は一度、溶解した地金を流し込むと形が崩れる為、特徴として量産性がありません。
鋳造した後の鋳肌が砂肌のようなテクスチャーが付くので独特の風合いが楽しめるんだけど、ま、思っているより大変っていうか熔解した地金の扱いって、こんなに難しいのねん・・・って思うかもしか。
トゥーファキャスト
主にインディアンジュエリーのナバホ族が使う事が多かった石型を用いた鋳造技術となり、現地でトゥーファストーンと呼ばれる目の細かい軽石みたいな軟らかい石の表面をフラットな状態にし、そこに平面図にしたリングやバングル、フラットな状態のバックル等のデザインをだね、完成させるデザインが反転(完成で凸部分なら石では凹部分)するように石を彫り、その一部に銀等の地金を流し込む為の湯道を彫っちゃうのです。
その後、同じくフラットにした別の石を重ね合わせて、針金等で2枚の石を固定し、銀等の地金を流し込む為に作っておいた湯道部分から熔解した地金を流し込む事で彫り下げた部分に地金が流れ込んで固まり、完全に固まった後、固定した2枚の石を外すと彫り込んだデザインの凹凸部分が反転したデザインの地金になる伝統的な鋳造技術のひつつでサンドキャスト同様に独特の鋳肌になるのが特徴っすね。
石膏キャスト:石膏鋳造
ここで書く石膏キャストとは、上記のトゥーファストーンの代わりに石膏を使って鋳造をする技術となり、この技術の発展したのが現在の貴金属を使ったジュエリー等の装飾品や装身具のロストワックスや量産性の高いキャスト品となっています。
ジュエリー等の装飾品や装身具のロストワックスについては後程、もう少し詳しく紹介していこうと思っているんだから焦らないでちょんまげ。
金型キャスト:金型鋳造
金型を使って鋳造する方法ですが、ジュエリーの業界ではあまり使われる事がありませんので補足的な感じで書いてま~す。
製作に費用の掛かる金型は、精密性と量産性に優れている為、工業用のパーツやプラモデル等のパーツ、場合によってはプラスチックは大量生産をするアクセサリー等の素材で使われる事もありますが、費用や設備だけでなくミニマム発注数、ま、工場の規模とか取引実績とかにもよりますが、ミニマム数が少ない程に単価が上がるから、そうだねぇ・・・型留めっていって他のメーカーや業者さんが同じ型を使えないような感じにするんだったら・・・とか書き始めると分かり難くなっちゃうから、ちょっと省略!
鋳造って技術じゃないけど、金型を作ってアクセサリーとかを製作するならプレスって方法もあり、ほれ、そんな事まで書き始めたら話しが終わんね~じゃん。
ジュエリー等の装身具や装飾品の鋳造方法
いろいろな鋳造技術がある中で、ジュエリー等の装飾品や装身具の鋳造方法にも鋳造マシーンによる鋳造方法のバリエーションがあるっすよ。
合金メッキのアクセサリーなんかの場合、中心から放射線状に何個ものデザインが凹んでいる円盤状の特殊なゴム型を使って安価に大量生産ができるようになっていますが、それは合金の融点が低い事、鋳肌が荒れていてもメッキ処理をする事を前提にしているからで、もちろん高価なパーツ屋さんは品質も仕上げも綺麗でメッキも丈夫で、そういう意味では価格相応の品質にはなりますが、貴金属を使ったジュエリーと合金を使ったアクセサリーでは鋳造方法も似てなくもないんだけど微妙に異なる部分が多いので、アクセサリーとジュエリーって地金素材だけでなく技術としても地味に異なるっす。
遠心鋳造
その名の通り遠心力を利用した鋳造方法になり、古くからの職人さんは現在でも利用している鋳造方法ですが、熟練の勘が必要な事から詳しい業者数は分かんないけど主流の鋳造方法ではなくなりつつあるんじゃないかしら?
縦型と横型がありますが、構造的には回転する軸に取り付けられたアームの片方の端に地金を溶解する器があり、その後ろ側に石膏型が取り付けられるようになってますよ。
もう一方の端には錘が付いており、まず地金を完全に熔解させた後、高速回転させる事で溶解した地金が遠心力で石膏型に強制的に流し込まれていく事で機械式の鋳造方法としてはアナログなタイプになるかもよ。
サンドキャストやトゥーファキャストは熔解した地金は表面張力が働き、綺麗に流れ込まなかったり、デザインが複雑だったり、細かかったりすると全てに地金が行き渡らなかったりする為、そういう欠点を克服したセミセルフ?ちゅ~か、セミセルフって何だよ?ちゅ~ような機械と手作業の中間的な感じから発展している技術っすね。
遠心鋳造機そのものも改良されてきているので、廃れていく訳ではないと思いますが、他の鋳造機のシェアが高くなっているのは確かじゃねぇ~かなぁ~。
吸引鋳造・吸引加圧鋳造・吸引低圧鋳造・吸引真空鋳造・真空加圧鋳造
こちらも名の通り吸引力を使った鋳造方法になり、こちらの方法は様々な技術やアイデアによるバリエーションがある事もあり、現在ではある程度の規模でジュエリー等の装飾品や装身具の鋳造をする場合、このタイプの鋳造マシーンを使った鋳造方法が用いられる事が増えているっすね。
原理としては、吸引力を利用する事で遠心鋳造では熟練の勘による部分が多かった点が少なくなり、鋳造時の遠心力による石膏型の破損といったリスクが軽減できます。
加圧の場合は熔解した地金に圧力を掛けながら流し込む事で地金が細部まで流れ込むように意図されており、低圧の場合は逆に石膏型の入った部分を減圧する事で同様の効果を狙っています。
これらの発展した仕組みとして誕生したのが真空鋳造となり、真空状態(もしくは真空に近い状態)にして熔解した地金を流し込む事で気泡が入り難い事や状況の数値化による自動化が図られていて、機械による自動化された部分が多くなっているくせに癖のある機械が多いから、それはそれで厄介なんだよなぁ・・・
ジュエリー鋳造過程
長々となってしまっておりますが、これでもかなり省略して書いてるんです・・・
ちゅ~ような感じで、本題のジュエリーの鋳造過程を紹介していきますよ。
まず、画像の左側がワックスツリーと呼ばれるワックスメーキングで製作したワックスをツリー状に何個も取り付けた状態となり、画像の右側が実際にシルバーで鋳造した状態のキャスト品です。
ワックスを1点だけ鋳造したら当然ですが、鋳造代となる工賃は1個のワックスに全て乗ってしまいますから、ロストワックスで鋳造する場合には効率性を考えて複数のワックス型を一気に全部一緒に鋳造しちゃうんだよ。
このワックスツリーにしても、この後の工程で石膏に埋没するのですが、ワックスとワックスの隙間の間隔、溶解した地金を流し込んだ時に全てのワックス型の細部まで地金が流れ込むように配置を考えたり、当然、先に流し込んだ部分や細い部分から地金が冷めて固体化していくので、そこで先に流し込まれた方が固体化しちゃうと地金の供給が途絶えちゃい、いい感じに全体に流れ込まなかったりするから予備の湯道を取り付けて熔解した地金が隅々まで流れ込むようにとか、地味に経験や感覚なんかを基準に考えているんです。
先の画像のワックスツリーは、このような感じで円筒状の金型に嵌め込んで石膏を流し込んで石膏の中に埋没させるから、上下が反転しちゃいますよ。
さっきの画像の左側のワックスツリーの下部に黒い土台みたいなのがあるでしょ?
それが円筒状の金型にピッタリ嵌まって底部分になっているんだよ。
石膏の種類にもキメの細かさや粘度や焼成温度や焼成時間等の特徴があり、そこで使った石膏の肌が鋳造品の鋳肌になるので、この辺りは鋳造屋さんによって違います。
石膏の中に混じって入ってしまった気泡とかを脱泡したり、ま~ここでも地味なんだけど何気に頭を使ったり大変なんだよ。
それでここに登場したこの機械が石膏を焼成する為の炉になりますよ。
石膏を焼成する事で石膏は硬化して、埋没させたワックス型は熔解して蒸発していくので、この炉を使って石膏型にしていくのです。
ま~ま~の規模の鋳造屋さんなので、1回で何個もの石膏型を焼成できる大き目の炉になりますね。
ちゅ~ような感じで、石膏型を炉に入れていき、焼成していきま~す。
石膏の種類とか入れる数とか様々な状況によって焼成温度や焼成時間が異なるので、その辺りの説明はできないっす・・・
どれだけ機械化や自動化が進んでも経験に基づく勘ってのは必要なんだよ。
そうして次に登場するのは、前の方で出てきた真空鋳造マシーンです。
ま~ま~ハイテクな鋳造マシーンですが、理論上は真空っていっても実際には完全な真空状態になる訳じゃないし、こうした機械って使ってみて問題が出て、その解決策を模索して、そんで試してみて、どうなるか?
そんな事の繰り返しで、それこそ気温とか湿度とかによっても違いが出るし、石膏の種類によっても違いが出るし、キャストする地金の種類によっても違いが出るし、そういうのが何となく分かってきた、掴んできたと思った頃には何かしらの機械の不調とかが生じたりして、パーフェクトを求めようとするとコストが嵩むし、そういうのは鋳造屋さんの方向性とかだから何とも言えませんが、あたしはコストより品質を重視して鋳造屋さんを使っているよ。
ちゅ~ような感じで焼成した石膏型をセットして、キャストする地金の熔解をして鋳造をしていく訳なんだけど、この画像は焼成した石膏型をセットしている様子っすね。
鋳造マシーンの中央部にある銀色の部分が上下に分かれ、石膏型をセットするのは下の部分になっています。
こういうのも鋳造マシーンの種類や機械のメーカーによって仕様が違うから説明し難いんだけど、銀色の上の部分で地金を溶解して、一番上にレンズみたいな覗き窓があるんだけど、そこで確認しながら熔解した地金を石膏型に流し込みます。
ある程度のハイテクマシーンになるとガスバーナーとかで地金を熔解しないで電気炉みたいなので地金を熔解しちゃいます。
ちゅ~のもガスバーナーとかだと熔解した地金に酸素とか空気が混じるからで、細かい理屈はい~んだよ、こういう事は慣れだよ、勘だよ。っていう昔気質の職人さんは好まないタイプのマシーンっすね。
熔解した地金は肉眼では眩し過ぎて直視できないから、表示される機械の数値とかを目安にしながらも最終的には勘みたいな感じになってしまうから、そうは言っても鋳造屋さんの技術はキャスト品にダイレクトに現れます。
コスト重視、ともかくリーズナブルな鋳造屋さん、かなり割高、とても安いとは言えないけど品質だけは素晴らしい鋳造屋さんと様々な鋳造屋さんを知っていますが、あたしの場合、地金の配合率とかシュプールワックスっていう補助の湯道とかまでワックス型の製作時に決めているくらいなので対応してもらうには結果的にコストより品質になってるから、しゃ~ねぇ~なぁ~って感じです・・・
鋳造が終わったら、大きな水槽っていうか、ま、そんな感じのところで石膏型を急冷します。
石膏は水で溶けて崩れていくので、そこで初めて地金に置き換わった鋳造品を見られ、それが最初の画像の右側になります。
この作業の後に、ツリーからキャストした商品を切り離して、酸洗いとか電解研磨とかの下処理をしていく訳ですが、今回はこんな感じでいいっすよね?
尚、今回の画像は全て「合同会社Creo(クレオ)」さんに協力してもらいました。
様々な設備も合同会社Creoさんの鋳造設備となっています。
コスト重視って事だったら、他の鋳造屋さんを紹介する事もできますが、少量で品質の良いものを鋳造したいならお薦めです。
もし興味があれば、あたしの名前を出してもらえば特別対応してくれるよ。
どちらにしても自宅で鋳造をしようと思っても趣味ならいいけど、ほれ、ガスとか酸素とかのボンベ、電気炉とかコンパクトな鋳造マシーンってっても場所も取るし、普通の家庭用電力じゃ何な場合とかもあるから、ま、鋳造屋さんに依頼した方が安心だし、お金も掛からないんじゃないかしら?
ちゅ~ような感じで、あんまり分かり易くなかったやもしれませんが、ま~ま~頑張って書いたっすよ。
ち~ゆ~。
ΘεΘ
最新記事 by Ijeluna onota (全て見る)
- 彫金には欠かせないガスバーナーと酸素バーナーのセッティング - 2017年4月8日
- 自分で見付けた石コロを使ってペンダントを作ってみた - 2017年3月9日
- 鋳造:ロストワックスの仕組みとか種類とかいろいろ - 2017年3月6日