覆輪を使ったシルバーリングを作ろう(1) [彫金]

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石を使ったシルバーリング

何種類かの覆輪バリエーションの作り方を紹介してきたので今回からは覆輪を使ってリングを製作していきますよ。

リングに限らずジュエリーのデザインは着け心地や使い勝手なんかを無視しちゃえば無限大なので、あたしが紹介するのは基本的なデザインスタイルや構造を組み込んだオリジナルのジュエリーとなります。

ちゅ~ような感じで、今後、いくつかの作品を紹介していきますが、それらを同じように再現する必要もないし、基本的なポイントを押さえた上で自由気まま好き勝手にデザインのアレンジなんかをして自分流のオリジナルのジュエリーを製作して欲しいって思います。

ジュエリーって消耗品ではなくてデザインや使い易さが良く、そして簡単に壊れないだけの耐久性があれば長く愛用できるもので愛用する程に愛着の湧いてくるものだから、いい感じのジュエリーを製作するには数多くのジュエリーを見て触れて所有して使ってみるしかないんだけど人によって好みも違うし、いい感じっていう感じにも違いがあるから、ここから先は自分の技術とデザイン性を追求する部分と販売目的であればニーズっていうか求められているものを意識する部分との鍔迫り合いみたいな感じっすよ。

こういうバランス感を大切にするかどうかは君自身が決めるしかないし、下手したら決めるという選択肢すら持てないかもしれませんが、未来は自分で切り拓こうって感じでやったってね~。
ちゅ~ような訳で、こんな感じのリングを紹介しつつ製作過程の中でのポイントを書いちゃうよ。

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製作工程とポイント

もう覆輪についての説明は省略しちゃうし、ある程度の基本的な作業ができるって事を前提にしているから画像も最低限でいきますよ。

今回のリングはジュエリーの中でもリングというアイテムとしてはベーシックなスタイルとなる「割り腕」って呼ばれるデザインを発展させたものになるっす。
割り腕とはリングの腕部分になる1本の板状地金の両端を途中まで糸鋸で切れ込みを入れておき、その切れ込み部分を爪起こし等で左右にパッカ~んって拡げて、1本のリングデザインが途中から枝分かれしてに真ん中に隙間がある2本になっていくデザインの事になります。
こちらは1本の板状地金の両端を3本になるように切れ込みを2本入れたりする事でバリエーションが増えるし、切れ込みの深さ、リングデザインとしての腕の両サイドの立ち上がりの角度や隙間の広さや腕のボリューム感とか様々なアレンジができる古典的なデザインスタイルになっているんだよ。

画像の上の方にあるリングが途中から二又に分かれて割り腕となったリングの腕の部分を丸くリング状にした状態っすね。
この両端の接点を切り揃えてロウ付けしちゃえば、もっとも簡単な割り腕のリングになっちゃいますが、今回は発展させていくので画像の流れを見ながら個別に製作した何種類かのパーツを組み合わせてデザインリングにしていく工程をイメージしながらご覧下さいまし。

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石を留める覆輪部分を少し宙に浮かす事で光が様々な角度から入ったり抜けたりして石の色合いや透明感が活かせるんだよ。
カボッションカットのルースを使っている場合はファセットカットのルースのように石の裏面が尖がった出っ張りがないから浮かして生み出すスペースよりも最終的な高さを意識したりバランスを見たりした方がいいと思うっす。

作業的な意味ではパーツをロウ付けして組み上げた後ではヤスリが当てられない、仕上げ作業ができなさそうな箇所はロウ付けをする前の段階でペーパーの1000番くらいまで当てて半分ばかり仕上げておく事じゃないかな。
こういうパーツを組み合わせて製作するのは、寄せものって呼ばれる事もありますが、部分部分のパーツを板材から切り抜いたり、角線から叩き出したりしながら成形し、ベースとなるリングのアールに合わせてカーブさせたり、ぴったり隙間なく嵌まるようにしていくから、その時に作ったパーツが合わなかったり、バランスが悪かったりしたら作り直しちゃえるんだね。

どの程度の装飾性を持たせるかやボリューム感を出したいかにもよりますが、あたし個人的には石を使ったジュエリーの主役は石だと考えているので、石を邪魔しない程度の主張って感じを意識しているっす。

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今回は4本爪のシンプルな爪枠を両サイドに入れて脇石っぽい感じにしていますが、こんな感じの側面から見た感じになってますよ。
爪枠は覆輪の中座のサイド部分に丸線を4本ばかりロウ付けして製作しますが、爪枠も非常にバリエーションが多い上、そのデザインによって製作方法が多岐に亘るから、ここでは省略しちゃいます。

こういう感じのものを製作していく中では爪枠も特に難易度が高い訳ではないのですが、ロウ付け箇所が次々に増えてくるので、ポイントしてはロウ付け作業かしら?
ロウ付けは一度にロウ付けできるところは全て同時にロウ付けしちゃい、ロウ付けした後はフラックスが残らないように丁寧に酸洗いをしてね。
ロウ材は融点に達すれば自然に液状化しますが、ロウ付け箇所に隙間があったり、フラックスが塗付が甘かったりすると表面張力が働いて素直にロウ付けしたい箇所に流れ込んでくれないんです・・・
またロウ材を直接加熱しちゃうと最初は表面張力が働いて丸く玉状になるものの、その後は表面が炭化しちゃう枯れた状態になってしまうので、その点も注意が必要かしら?
ちなみにロウ付けは5分ロウだけでいいっす。

糸鋸、ヤスリ、ロウ付け、木槌や金鎚を使って形を出す事は基本的な技術になるから、最初から上手くできる人なんてそんなにいない、どっかで壁にぶつかっちゃうと思うんだけど実践した中で試行錯誤するしか解決できないので諦めないでね。

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こんな感じの覆輪を使った地金メーキングのリングを何点か紹介していくから、きっと作業手順とか基本的な段取りとかデザインのパターンなんかは分かっていくんじゃないかなぁ。
それと実際に製作してみる事との間には違いっていうか差があるとは思うけど、とんでもなく高度な技術ではないから経験とか努力みたいなんで何とかなるっすよ。

ちゅ~ような感じで、あんまり細かい事は書いてないけど以上で~す。

ち~ゆ~。

ΘεΘ

 

 

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Ijeluna onota
ち~ゆ~国である「Ijeluna:ΘεΘ」と「nekogurma:ΦωΦ」さんはジュエリーを製作したり宝石をコレクションしたり販売したり眺めたり何かしらしているんだよ。 http://shop-nekoguruma.com/
[ 覆輪を使ったシルバーリングを作ろう(1) [彫金] ]彫金/ロストワックス, , , 2017/02/22 21:31