オーバーレイとは?
日本語だと貼り合わせって呼ばれる地金メーキングの技法のひとつで複数枚の地金板を切り抜いて貼り合わせる事によって凹凸感を出す方法になりまして、この技法を使ったジュエリーと言えばホピ族のインディアンジュエリーが世界的にも有名なんじゃないっすかね?
基本的な技術としては糸鋸を使いこなす事と貼り合わせの際のロウ付けになりますが、糸鋸についての分かり易い説明はCREERさんの糸鋸を紹介している記事「糸ノコの使い方とシンプルピアス」を読んで欲しいんだけど、もう糸鋸を使いこなすというのは思っているよりも大変、とても奥が深いので気が遠くなるくらいに習得した感を得るまでに時間が掛かるんだよ。
習得が先か老化が先かって話しになるくらいの時間が掛かって、もう老化が進むにつれて震える手、その指先の振動を上手く利用して小刻みに糸鋸を動かす感じで、そこには一切の無駄な力が排除され脱力、心にも雑念がなく無心、呼吸をするように自然に手が動く無我の境地、もう頭ではなく手が覚えちゃう部分が多いような気がするよ。
こういう基本的な技術を追求しちゃう中でしか生まれない、誕生しない独特の世界観があって、それはデザイン的な要素だけでなく立体感や質感といった雰囲気そのものになるのでアレンジしたり他の技術と組み合わせる事で絶対に真似のできない、或いは真似をしたくない雰囲気が漂うオリジナリティーのある作品が作れるんじゃないかな。
ちゅ~ような感じで、オーバーレイを使って製作した作品って、こんな感じの蜘蛛の巣・・・じゃねぇ~な、薔薇みたいだな、そういう的な何かなものになります。
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オーバーレイを使った製作の流れ
基本的な材料となる板状の地金を用意して好きな図案を決めて下さい。
慣れてくると貼り合わせる地金の板を何層にもしたり、地金の表面を意図的に荒らしたりして任意のテクスチャーを付ける事もできますが、まずはコントラストを意識してデザインの凹凸を決めてね。
ちゅ~のも切り抜く作業が細かくて、いくつものパーツを位置がズレないようにロウ付けしないといけないようなデザインになると難易度が上がってしまうからなのです。
今回は最初から完成形が分かっているので細かい説明は省略しちゃいますよ。
デザインを決めたら、切り抜く部分に糸鋸の刃が通せるようにリューターを使って穴を開けちゃいます。
細かいデザインは細いドリル刃じゃないとダメなんだけど細いドリル刃って折れ易いから油を差しながら低速で穴を開けてね。
使用する地金板は焼きなまししていない状態の方が変に粘らないから作業がし易いっすよ。
作業のポイントっていう意味では何気にすり板っていう作業する部分の木製の板がグラつかないフラットな状態の方がいいから、使っているすり板を裏っ返して使うか、糸鋸の作業専用のすり板を使って板材がグラグラとしないようにする事っす。
切り抜く板が厚い程、最終的なデザインの凹凸感が強くなり、ハイコントラストっていうか、パッと見のインパクトは強くなるねぇ。
上手い事いくと切り抜いたデザインも切り抜かれた方のデザインも両方が使えるんだよ。
印鑑で文字が抜けた感じのタイプと文字が浮き出るタイプがあるじゃない?
あれと同じでデザインは同じなんだけど見た目の印象は違うっていうか、ま、違う感じだし、実際、デザインによってはどっちが簡単でもないし、どっちが優れているって訳でもなく好みなのです。
ちゅ~ような感じで集中、地味に焦らずに糸鋸を使ってデザインを切り抜く訳ですが、ポイントとしては糸鋸は垂直になるように意識して切り抜いている板材の表裏どちらも同じになるようにする事っす。
糸鋸の極意は切るんではなくて、ヤスリと同様に糸鋸の刃の部分で地金を削っているという感覚になります。
前へ前へ無理に進まそうとか早く切り抜いちゃおうとか思ったり考えたりしちゃうと細いノコ刃に無駄なテンションが掛かって一瞬でノコ刃が折れちゃうし、折れなくてもテンションが掛かっているから捻じれが生じちゃって真っ直ぐに切れなくなってしまうんだよ。
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その次の段階としてはフラットな何にも加工していない板材に切り抜いたパーツを乗っけてロウ付けしちゃう作業になりますね。
オーバーレイのデザインだとロウ材は切り抜いた方のパーツ(上に乗っける方ですね)、このパーツの裏面にロウ材を置いて、半熔かし状態にしておいて、その状態にしたパーツをベースに乗っけて、ベースとなる板材の裏面からバーナーで加熱する感じでやるといいっす。(簡単にまとめちゃってますが、このロウ付け作業も地味にポイントっすね・・・)
そうするとベースの温度が上がって上に乗っけた切り抜いたパーツに半熔かしになったロウ材が再び熔けてくれますよ。
ロウ材が熔けると液状化した銀色に光輝く筋がバッチリ見えるから、そん時に長いピンセットとか使って上から軽く押さえるような感じで隙間が生じないようにロウ付けしちゃってね。
今回はリングではなくてペンダントになるから、丸く切り抜いた状態でボタンみたいな感じ、コンチョみたいな感じ?
ちゅ~ような形状になるようにサイコロって呼ばれる丸い窪みの付いた金型に矢坊主って呼ばれる丸い頭をした鉄の棒を使って裏から叩いて膨らみを持たせますよ。
この辺りもCREERさんが詳しく紹介してくれるから安心っすね。(ちょ~他人任せっすね。)
もう殆どの技術が応用可能っていうか、どの段階でどういう風にするのかで無限のバリエーションが生まれるから地金メーキングが好きな人は地金メーキングだけでも様々な作品が作れるんだよ。
小さなサイズだったら一度の焼きなましでコンチョみたいな丸みが出せちゃいますが、大きなサイズになってくると何度か焼きなましをしながら少しずつ打ち出して膨らみを持たせますよ。
貼り合わせる時のロウ付けが甘いとリングだったら丸める段階、こういうコンチョみたいな感じのものだったら膨らみを出す段階で隙間ができてきたりしちゃいます。
平面で貼り合わせた状態とリング等に丸めた状態やコンチョみたいに膨らみを持たせた状態では余白の感覚っていうか、コントラストの感じが変わってくると思うから、そういうのは慣れるしかないっす。
その後の作業工程は丸環とかバチカンを付けたり、ブローチの金具を付けたり何にしたいかによって何でもいいっていうか自由。
こうして製作したものをパーツと考えて何かと組み合わせるもいいし、これはこれ、こういうものだよ。って感じで完成させるべく仕上げちゃってもいいし、そういう事を考えているのが楽しいんじゃないの?
えっ?もっと明確な答えが欲しい?
いつだって答えは君の中で君を待っていて、残念ながら君の方が待っているんじゃない、答えの方が君を待っているんだよ。
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こうした彫金としての基本的な技術、糸鋸を使いこなす、ロウ付けを習得する、ヤスリとかを使いこなす、叩き出して成型するって感じの要素はそれぞれが何らかの作風になる要素だから、ちっとも習得できないっていうか、上手くいかねぇ~なぁ~って思う事ばかりな感じだったりします。
あたし的にははですね、マジで10年くらいは糸鋸が苦手でして苦手意識しかなかったんだけど、ノコ刃のメーカーを変えて、ちょ~高いんだけど折れ難い強いタイプにした瞬間、もう違う、これミスる気がしねぇ~な、ちゅ~か、無敵じゃん!って思いました。
それ以降、もうノコ刃をどんどん細いサイズに変更しちゃって、今じゃ折れる前にしなり方とか感触とかでチェンジしたり、糸鋸の上の方ばっかり使ったり、下の方ばっかり使ったりして完全にダメになるまで使っていますが、ちゅ~ても悲しいかな・・・どんどんノコ刃のメーカーが販売中止とか廃業とかになって入手できなくってきちゃったので、もう6/0か5/0ならいい、細きゃ何でもいいや・・・って感じになっております。
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ちゅ~ような感じでオーバーレイって技法を使ったら、ホピ、こんな感じのものが作れるんですが、こういう泥臭い感じの作風って何かハンドメイドの王道っぽくないっすか?
ち~ゆ~。
ΘεΘ
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