ワックスメーキングで指輪を製作
ワックスメーキングで指輪を製作する工程を紹介してみますが、ワックスメーキングの最大の特徴と製作方法としての魅力は自由度の高さですから、こちらはベーシックというかスタンダードな主に切削による造形をする製作工程になりまして、ま、基本というか何となくの製作工程みたいな感じで問題ないっていうか、ジュエリー製作の中でワックスメーキングに関してだけは結果が良ければ問題ない、結果が全てなので自由気まま好き勝手にやっちゃってもいいんだよ。
ワックスの大きな塊、そのブロックの中から木彫のように何らかのデザインや形状のものを彫り出す感じで製作する切削加工を中心に造形するので貴金属地金を叩いたり曲げたり溶接したりする加工に比べて立体的なフォルムやボリューム感のあるアイテムを作り易い事もあり、ワックスメーキングの代表的なスタイルとなっているんじゃないかな?
技術的な要素よりも感覚的な要素っていうか、まぁ、ジュエリーちゅ~のは基本的にそういうものかもしれませんが、デザインとかバランスとか感覚的なところで最終的な印象や雰囲気が違ってくるから、そういうデザイン的なところに正解はないんだけど、フィット感とか使い心地とか使い勝手の良さとかは意識した方が見た目だけでなく実用性みたいなんもいい感じになるじゃん。
でも、そういう事、小手先の事とか細かい事とかは何も考えないで、重たかろうが着用感が良くなかろうが自分的には好き、この何か邪魔ちゃ~邪魔だし、いろいろ気を遣わなきゃいけねぇ~んだけど、そういうところがまたいい。っていうか、もう逆にそういうところがいいのかも・・・って思えるような楽しみを感じながら作ってみて欲しい気持ちもあるから、何を基準にしてもいいんだよ。
ちゅ~感じで、今回、ワックスメーキングで製作する指輪になります。
ワックスメーキングでの指輪の製作工程
指輪用のチューブワックスを使って製作するので、チューブワックスを必要な長さでカットして断面を平らに削り、チューブの穴をリーマーを使って任意のサイズに拡げます。
この段階はベースとなる部分を用意している段階なので左右対称になるように幅や厚み等を揃えて中心がズレたりしない事くらいしか意識しないっていうか、それ以外に特に何ってポイントはないのですが、この塊の中に作りたい指輪が存在している訳ですから、デザイン的なイメージを頭の中で描きながら集中力をじわじわと高めていく感じっすね。
じわじわと集中力を高めてデザインのイメージが立体的に頭の中に思い浮かんでいる筈だから、もう確実に不要、不必要な高さや厚み、そういう部分をノコでカットしちゃいます。
これはイメージした指輪を製作するのに必要なベース、これ以上は要らないんだけど、これよりも小さいとマズいなぁ・・・って感じの土台部分を作っている状態なので、大胆にして緻密な感じのボリュームにしちゃうのです。
真っ直ぐにノコでカットする時は、リンゴの皮を剥く時みたいな感覚でチューブワックスを少しずつ回しながらノコを当てて、ぐるりと外側から内側に向かって削っていくような感じで切断するといいよ。
ある程度の幅や厚みがあるものをノコで切断する時って自分から見える表面と見る事ができない裏面でノコの切断位置がズレちゃっている場合が多いので、曲面に切断する時は少し注意しないといけないから、このリングの後ろ側だけは後からこうやって余分な厚み部分を落としちゃいます。
特に何にも作業が進んでいないように見えるかもしれませんが、ちゅ~ても下拵えってのはこんな感じなんじゃないの?
この段階が中心の確認や左右対称かどうかの確認ができる重要な段階なので、地味に見えても必要なら中心線を引いたり、目安となる当たりの印とかを付けてちょ。
今回は石を使ったデザインリングになるので、石枠、石の入る窪みを作っていきます。
リューターがあれば丸カッターや円筒カッターで石枠の窪みを彫りますが、リューターがなければ耳ほりみたいな感じのスパチュラなんかを駆使して石枠の窪み部分の壁面が垂直で石に合わせたちょうどいい感じの深さになるように注意して石の入る部分を製作しちゃいます。
中心線とか当たり線、目安となる印なんかを意識して穴の位置や深さを決めているんだね。
ちゅ~ような感じで、先程、作った石の入る穴と中心線とかを基準にして石枠部分、覆輪の外側になる部分を残しつつ高さを一段ばかり下げていきます。
ひとつ前の作業工程で作った面とか厚みとか石の入る窪みとかが次の工程の基準になっているから、まだまだ完成の形には遠いんだけど丁寧にやっていくんだよ。
あ、ちなみに石の大きさは8mm×10mmのオーバルカボッションカットです。
石枠部分が完成したら、もう基本的な厚みが決まって、その段階で中心線とか目安となる当たりや印を付け終わっているので、今度は余分な幅、必要のない部分をノコでカットしちゃいます。
この前の段階までと違って、ここからは中心線が消えたら描き直せないので、角を落として丸くするみたいなフォルムじゃなくて、角張ってるけどリングの表側と裏側が同じ幅や厚みになっている事に注意するんだよ。
あんまり細くなり過ぎても何ですが、あんまり幅があると着用した時に圧迫感が生じるから、そういう事を少しだけ考えていたりします。
ワックスは切削加工がし易いので曲面とかも簡単に出せますが、削り過ぎに注意し、あまり強い力でヤスリを当てないように加減してちょんまげ。
割れたり折れたりヒビが入ったりしたらワックスペン等を使って補強したり修正したりできますが、修正する程に精度は落ちるから使わずに済むならその方がいいっすね。
次にリングの正面、石が入る窪みを作った面とリングの腕部分、両サイドの角張った余計な部分を削っていきます。
石の留まる覆輪部分は厚みが薄くて高さとかもギリギリになっているから、その部分に力が加わったり、ヤスリが当たったりしないように注意っすね。
どの作業工程でも面を作って中心や目安の確認をしながら次の工程に進んでいくのがベーシックというかスタンダードな方法になります。
自由性が高い、もう完全に一点物、その時じゃないと生み出せなかった偶然の産物的なものは、もっと即興的で感覚的に製作しちゃいますが、必ずしも気に入った感じにならないっていうか、失敗作になっちゃう事の方が多いっすよ。
やっと多面体で構成されたいたデザインが立体的な滑らかさを持ったひとつのデザイン、フォルムになってきましたねぇ・・・
画像も多いし、もう説明の必要もない感じですが、ここまでのプロセスの応用、アレンジだけでも様々なデザインのバリエーションが作れるんじゃないかしら?
もちろん、石を使わない、石の入る窪みのない地金デザインのものだって大丈夫だし、窪ませたり石枠を作る技術の応用で装飾性を持たせた細工なんかもできるちゃう?
しかしながら、今回は最初に紹介したデザインの指輪を作っている、その製作工程を紹介しつつ話しを進めているので続けます。
この段階では遊びっていうか、もうそんなにガリガリ削るような余裕も少なくなっておりますから、ヤスリはソフトタッチで曲面とかバランスとかを意識して寄せていきます。
二重覆輪って言うんですが、先に製作した覆輪の周囲を一回り大きな覆輪で囲むような感じにしているんですね。
カボッションカットの石を使う場合は、ファセットカットの石を使う場合よりも石留めのデザインが限定されるのでデザイン的にはスタンダードなスタイルのひとつです。
二重覆輪という石枠部分のデザインと厚みや比率なんかのバランスがポイントだったので、そこさえ決まれば余分なところが見えてくるから不必要な部分はガリっと削っちゃいます。
ちゅ~てもデザイン的に細くなったくびれ部分は割れたり折れたりし易いから油断大敵っすよ。
ワックスは微妙に透けて見えるから地金になった時の厚みより薄く見えちゃうし、重量感もあんまりないから分かり難いと思いますが、鋳造して地金に吹き変えると透明感なんてないし、その重量も地金の重量になるので想像しているよりも重たかったりします。
また鋳造の場合、あまり厚みに厚い部分と薄い部分があったりすると綺麗に地金が流れ込まなかったり、キャストの状態が良くなかったりするので、少し意識してボリュームの調整をしつつ、細かい部分の仕上げをしていくっす。
最後に石に光が入る光抜きという穴を石枠の内側に空けて、ほれ、さっき書いたみたいに厚みをできる限り均一にする感じで裏抜きって呼ばれるリングの内側を表面のデザインに合わせて削る作業をしちゃいます。
最終的には鋳造屋さんの使用する石膏のタイプによって鋳肌の状態が変わってきますが、ワックスの状態でも仕上げりが綺麗な方が鋳造屋さんにプレッシャーも与えられるし、何となく気持ちいいし、ま、実際、綺麗にしないと分からない部分もあるので仕上げは綺麗に丁寧になのです。
ストッキングとかで磨いたり、ジッポーオイルとかを溶剤として使って磨くとピカピカになりますよん。
ちゅ~ような感じで、ワックスメーキングの中でも切削加工を中心にした造形をする場合、立体的な感覚でデザインをイメージして削り出していくので考え方としてはマイナス的な方法、大きな塊をマイナス、どんどん小さくしていく事でデザインを彫り残す感じですから、頭の中でデザインイメージを思い浮かべられないと進まないかもしれませんが、そこに関しては何ともならねぇ~っていうか、何とも言えねぇっすよ。
フリーダム、もう自由気まま好き勝手でも構わないし、そういう感覚の方が上手くいく場合もあるのが面白いところですが、ま、こういう流れ、作業工程で製作します的な感じでした。
ち~ゆ~。
ΘεΘ
最新記事 by Ijeluna onota (全て見る)
- 彫金には欠かせないガスバーナーと酸素バーナーのセッティング - 2017年4月8日
- 自分で見付けた石コロを使ってペンダントを作ってみた - 2017年3月9日
- 鋳造:ロストワックスの仕組みとか種類とかいろいろ - 2017年3月6日