ロストワックスでボリューム感のあるリングを作ろう(1)

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ボリュームのあるリングを作ろう

狙ってないけど結果的にボリューミーになってもうたね・・・って感じになると失敗、それは失敗、見た目よりも何か分からないけどいい感じの要素、思ってたよりも使い易いとか飽きがこないとか何でもいいんだけど実物の方が何かしらの点で素晴らしく感じられるものにしましょうね。

ちゅ~ような願いを込めて製作しても何故だんだろう?
何か思ったよりもゴツくて何か変、違和感があるなぁ・・・なリングになってしまう人、そういう感じでワックスメーキングをしているものの何故だかボリューミーになってしまうのは、単純にワックスの質感と重量感が地金になった時の質感や重量感と一致していないからだと思うよ。

ワックスを鋳造して地金にした場合、アバウトにはシルバー素材ならワックスの重量の10倍、ゴールド(K18)素材ならワックスの重量の15倍、プラチナ(Pt.900)素材ならワックスの重量の20倍くらいの重さになるから、もう同じ形状なのに貴金属になると重量は10倍以上になり、ワックスだと薄くて何だか壊れそうに見えるものでも貴金属地金、もう鋳造したら金属ですからカチンコチン、ま、貴金属類は金属の中では軟らかいとしてもワックスとは比べ物にならない強度と質感を持つのです。

ワックスメーキングは比較的に初期に必要な設備費用とかが少なくて作業するのに必要なスペースも左程じゃないので気軽に始められる反面で鋳造に関しては鋳造屋さんに依頼する事が多いと思うから鋳造から戻ってきたら重っ・・・ってパターンはありがちな事で、それでキャスト(鋳造品の事ね)の状態が悪かったらボツっすよね?

ちゅ~ような訳で、こんな感じのボリューム感のある大振りなリングをワックスで製作しながらポイントや何かの説明ってな感じでいくっす。

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ワックスメーキングで指輪を製作しよう

 

ワックスメーキングの流れ

ボリューム感があるっていっても日常的に着用する事を前提にしているので、ま、使用するワックスはリング用のチューブワックスとなり、チューブワックスでは作れない程に大きなサイズとかボリューム感とかデザイン性があるものだったら、ブロックワックスから製作するしかないっす。
あたしが好きなチューブワックスはブルー:T-250ってタイプで、宝飾系のデザインだったらパープル:T-250になり、ワックスの色によって融点と硬さが違うんだよ。
市販品として流通しているハードワックスには、ブルーとパープルとグリーンの3色がありますが、特徴としてはブルーは融点が低くて軟らかいのでフォルム重視、パープルとグリーンではグリーンの方が硬くなるんだけど彫刻とかディティール重視となり、ブルーは軟らかいから割れたり欠けたりし難い反面で角張ったようなデザインを作る時は角がダレたり、細かい爪を彫ったりする時には折れない代わりにフニャってなっちゃってピシッと決まりません。
以上、ハードワックスの色による特徴でした。

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ボリューム感っていうか幅のあるリングを製作する時って、リングのサイズ出しをするにしても幅広のワックスの中心部と両サイドが同じサイズになるようにリーマーで削る事ができないので、とりあえず無視、サイズ出しは次の工程にする事にしちゃいますよ。
きちんと切り出したワックスの面を平らにしてノギスで挟んでも動かない、削った両サイドの面が揃うようにして、少し深めの中心線をひいてから、こんな感じでリングの後ろ側になる部分にかけて細くなるようなイメージで100%不要、この部分は必要ないって部分をカットしちゃいます。

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カットした部分、その面の部分は楕円とか半丸とかのカーブを削れるヤスリを使って中心線から見て左右対称になるようにしちゃうよ。
この段階では単なる当たりというか、この先の段階でリングの後ろ側とか両サイドとかの中心が取れなくなっちゃうから、ま~ま~丁寧に削り揃えておき、それが綺麗に揃ったらリーマーを使ってリングのサイズ出しをしちゃいます。
ボリューム感のあるリングの場合、サイズ出しの段階でリーマーでリング穴を大きく削る作業も地味に力が必要だから、ついついグイグイと捻じ込んでしまいがちですが、ノンノン、そこでグリグリと力強くやると穴がリーマーの刃で角々な感じになるし、リング穴の位置が中心からズレちゃう可能性大なので、もう丁寧に両サイドから交互に少しずつ大きくしてちょ。

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幅がある分だけサイズ棒とかに入れてもサイズが分かり難い、サイズ棒のサイズラインのどの位置まで穴を大きくするのか分からない?
ボリューミーなデザインだったらワックスでの最終工程で裏抜きをする事になるだろうし、地金に鋳造する際に縮み率も大きくなるし、地金になってからの仕上げ作業もあるので目安としてサイズ棒のサイズラインがリングの中心になる感じでいいっすよ。
ちゅ~ような感じで、バシってサイズが出て、穴の位置も中心、どちら側から見ても左右対称になったら、もうリングの正面と両サイドに付けていた中心線は消えちゃうんだけど明らかに余分な厚みになるところをノコでカットしちゃいますね。
リングの正面をフラットにして正面に再び中心線をひいて、両サイドも穴の位置から厚みを測り歪みがない並行したフラットな面にしちゃうよ。

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その次にはですね、リングの両サイドから後ろ側にかけての余分な厚みをノコでカットしちゃいます。
さっきまでの面をカットする時はワックスをクルクルと回転させながらノコが斜めらないように意識してカットしますが、この部分はリングの向きを変えられないから見えない裏側と同じ位置、同じ厚みでカットできているのか分かり難いから攻め過ぎない方がいいっす。
ちゅ~か、この前の段階で両サイドの厚み、穴の位置からの厚みが出ちゃっているから、その厚みを目安にしてちょんまげ。

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ちょっと大きなサイズのアメリカ産ターコイズをメインに使ったリングにしているので、そのターコイズがピッタリと嵌まる窪み、石の中座になる部分を掘り下げちゃいます。
石のサイズ的な大きい小さいはあるんだけど基本的にワックスメーキングで石枠を製作する方法は同じなので、説明は省いちゃうけど丁寧にピッタリサイズにする必要がありんすよ。
ポイントしてはリングの正面に印した中心線と両サイドの位置、リング幅となる部分の位置、そういう今までの段階を基準にしているから、ここまでの段階で歪んでいたり中心から外れたりしていると何にも基準がない、目安になるものが勘?
ちゅ~ような感じになっちゃから丁寧にやっておけば良かったなぁ・・・って事にならないようにね。

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ここから先は完成形となるデザインを意識しながら明らかに余分な部分は大胆にカット、でも中心とか左右の対称性とかは意識して作業しないといけないっすね。
アバウトでいい作業と緻密っていうか狙っていかないといけない作業が交錯するのですが、あまり守りに入ると冒頭に書いたみたいに思った以上にゴツい、ちょ~重いし、デカいものになっちゃったなぁ・・・ってなるよ。
慎重に丁寧にやりつつも攻めるところは攻める、ギリギリってのは一歩でも手前、或いは一歩でも行き過ぎた瞬間に失敗する限界のポイントになるから、そこの手前で手堅く守っていると見る事ができない先の世界ちゅ~のが存在しているんですよ。

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ちゅ~ような感じで、粗い目のヤスリを使ってゴリゴリと削っていく訳ですが、この段階で石枠になる部分が完成に向かっているから、石が嵌まる窪みの縁となっているラインと両サイドからの立ち上がりのラインを馴染ませて結び付ける感じになっていってますよ。
あたしが何を言ってんのか分かる?
ここがワックスメーキングの醍醐味っていうか最大の特徴になるんだけど立体的な造形ってやつなんです。
厚みってのが存在する以上、リングの外側とリングの内側って円の大きさが違うじゃんね?
外周率とか円周率とか何やかんや考えるんじゃなくて、そもそも立体造形をしている訳なので感覚的に掴めないとバランスが狂ってきちゃうじゃん。

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微妙な誤差ってレベルだと人間の感覚ってファジーな部分があるから勝手に認識を修正して誤差を感じなくなるんだけど悲しいかな・・・経験を積む程に感覚が鋭くなり誤差が誤差として認識されるようになってしますのです・・・
スケールが大きいものだと逆に分かり難くなるんじゃないかと思いますが、ジュエリー製作とかだと1mmって大きい単位になり、0.01mmとかでの調整が必要だったりするから、一瞬の油断で台無しになってしまうんだよ。
ま、焦ったり急いだりしたところで地金メーキングと違って鋳造しなきゃ先に進まないから落ち着いて集中してやるっす。

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ちゅ~感じで、ある程度のところまでやったら、ヤスリの削りキズを消しながら地味に絞る、ギリギリのポイント、その一歩でも先に行ってしまったら失敗、ボツるって覚悟で踏み込んでいくっす。
失敗したってワックスなんだもん、それはそれで最小限のリスクって感じで考えないといけなくね?
最終的に攻めきれない部分の積み重ね、甘い部分の累積で完成度が下がっちゃうから、そこら辺りの感覚とか意識ってのは自己責任って感じで自由っす。

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ボリューム感のあるリングなので石枠の中心部をくり抜く光抜き、リングの内側を表面のデザインに合わせてくり抜く裏抜き、そして重要なデザインを同時に進めて完成させていくんですね。
ターコイズみたいな光が通らない不透明の石だと光抜きの意味としての意味はなくて主に軽量化が目的になるっすよ。
でもリングの内側と外側では厚み分の違いがあって、立体的に考えないと単に大きなサイズで薄っぺらいリングになっちゃうから、そうならないように注意してちょんまげ。

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ちゅ~ような感じ、こんな流れでワックスでの造形は終了、こんな感じっすね。
ワックスメーキングにはワックスメーキングの特徴や優位性ってのがあって、こういうデザインのリングを地金メーキングで製作しようと思うと面倒だし、どうしてもロウ付けした場所が隠せないから、やっぱりワックス向きなデザインになるんです。
地金を叩きだす鍛金との組み合わせで地金メーキングでも製作できますが、デザイン的な向き不向きや製作に必要な時間とかを考えて様々な方法の中から自分にとってベストな選択肢を選ぶ感じ?

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こうして記事を書いておいて最後に書くのも何なんだけど、そのボリューム感、重いし、邪魔だし、ちょ~使い難いんだけど、そこが逆にいい、何か分かんないけど好きなんだよね・・・って感じるくらいに気に入っているなら、もう他人が何を言おうと関係ない、好きなんだもん!
それはそれでいい、そういう感じで愛着を持って身に着けられるものが一番っす。

地金の風合いや質感とかだけでなく、ともかく何か分からん、でも気に入っている。
ちゅ~ように思ってもらえるジュエリーを製作しちゃいなよ。

ちゅ~ような感じで、ち~ゆ~。

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ワックスメーキングで指輪を製作しよう

 

 

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Ijeluna onota
ち~ゆ~国である「Ijeluna:ΘεΘ」と「nekogurma:ΦωΦ」さんはジュエリーを製作したり宝石をコレクションしたり販売したり眺めたり何かしらしているんだよ。 http://shop-nekoguruma.com/
[ ロストワックスでボリューム感のあるリングを作ろう(1) ]彫金/ロストワックス, , , 2017/02/21 22:23