いつかじゃなく今、個展を開こう。ねらい目はカフェ!?

個展を開こう

写真:Cafe Esquisse カフェ エスキス http://cafe-esquisse.net/

こんにちは!油彩画家兼レジン作家の川口ひとみです。レジン作家さん、制作進んでますか?この時期気温低すぎて2液レジンだと固まるまで一苦労ですよね。わたくしの場合油彩もレジンも換気必須だから冬が辛いっ。そもそも札幌じゃあ換気しようと思っても窓が凍って開きませんから。あれ?我が家だけ?

そういえば調度3年前のこのさむ~い時期に初めて個展をしました。大学の卒業直前。私のなかでは5,6年前くらいの記憶だったんですが3年前というと意外と最近。今回は、忘備録も兼ねて個展の開催ノウハウをお伝えしていこうと思います。興味のある方、どうかお付き合いくださいませ。私の場合絵ですが、絵以外のジャンルでももちろん応用できますよ。

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無名の作家だからこそ個展をやるべし

ハンドメイド作家なら「いつか個展を開くのが夢」という人は多いでしょう。いつか…有名になったら…いやいや今個展をやっちゃいましょう。敷居が高いですか?分かります、分かりますよ。しかし無名で駆け出しだからこそ個展をやるメリットが大きいんです。

 

<個展すべき理由その1>たくさんの人に作品を見てもらえる

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言わずもがな、個展の最大のメリットですね。私が一回目に開催したところでは一日お客様が200人来る場所でしたから、1カ月したので累計6000人の目に触れたことになります。カフェでしたから全員がじっくり見たわけではありません。しかし、1割の人が興味をもってくれたとしても600人。作品をネットで発信するのも大切ですが、個展をすることでネットを見ない人にもアプローチができます。

開催後も次のような効果がありました。

 

<個展すべき理由その2>初対面で興味をもってもらえる

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基本的に人間って他人に無関心です。「絵を描いています」→ふーん、趣味なのね~「個展しました」→えっすごい!プロ?

と、個展というワードが出るだけで聞く人の食い付きが全然違いました。それだけインパクトがある。絵を描く人は無数にいても個展をやる人は一握りだからでしょうか。興味をもってもらえば作品を見せても反応が違うし、「どこでやったの?」と話も広がっていく。

個展のときの写真をアルバムなんかにまとめておいてサッと見せれば完璧。それだけ個展にはインパクトがあるし、個展をしたという実績そのものがあなたの優秀な営業マンになってくれます。

 

<個展すべき理由その3>無理なくブランディングできる

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その2とつながる内容ですが、高確率で見込み客から信頼を得ることができます。巷ではブランディングの一環で、生活の隅々まで気を配っている人も多いですが、自撮り・ブログ・服装などもろもろ演じるのが苦手という人も、個展さえしてしまえば強力なブランディングになります。もちろん個展を開くのは労力がいること。簡単だよとは言えません。けど、それを他人も分かっているから「なんとなく大変そう」「誰でもできることじゃない」「それを成し遂げたってことはすごい」と、なりやすいんです。

 

個展はあえて「カフェ」でやろう

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個展なんて絶対無理と思ってたけど、ちょっと頑張ってみようかな。でもどこでやろうか?となったとき、断然おすすめなのがカフェです。理由は作家にとってもお客様にとっても敷居が低いから。作家にとっては開催しやすいし、お客様も気軽に行きやすい。だから新規のお客様がたくさんです。今まであなたを全然知らなかった人が偶然あなたの作品を目にする。そんな絶好の機会に溢れているのがカフェです。一般的に個展というとギャラリーですね。ところで…ギャラリーって行きますか?一度も行かずに大人になる人もいますよね。中学から油絵を始めた私ですが、こんな風に絵に興味があっても10回も行っていません。ギャラリー巡りが趣味という人でない限り、ギャラリーに足繁く通うレベルの人はそうそういないと思います。

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一方カフェは一度も行ったことがない人を探すのが大変なくらい。学生時代にカフェ店員のアルバイトをやっていた私にとってはかなり身近な存在でした。そもそも3年前、個展を開くきっかけになったのはバイト先のカフェが壁の貸出を始めたから。店長から「川口も使っていいからな!」と言われ、いつかね、いつか…と最初は本当にやろうだなんて微塵も思わず。「でもアレ…いつかっていつならいいんだ?春から就職するんだし、むしろ時間がある今がチャンスでは」と思い直し、あれよあれよと開催が決まりました。勢いですが結果よかったです。店長!ありがとう。当時は「ブランディングになるから。これも投資だ!」なーんて戦略は一切なく。個展?かっこいい!やりたい。それだけです。ただただかっこつけたい。それでも結果として多くの人の目に触れることができ、なんと作品も売れてしまうという想定外に嬉しい収穫がありました。そして完全に味をしめてその1年後もカフェで個展を開くことになります。

続いて個展経験から得たことをより具体的にお話していきますね。

 

カフェ個展のメリット・デメリット・注意点

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カフェでの開催にあたってメリット・デメリットをおさえましょう。こうして見るとギャラリーと裏表になっている部分もありますね。

メリットは・すでに集客力がある・費用が安い・在廊の必要がない…と個展デビューの作家にとって助かるものばかりです。いや、決してギャラリーを貶めたいわけではなく!ここではあくまで駆け出しの作家がプロモーション目的で個展をするなら…という視点ですのでそこは誤解のなきようにお願いします。ね、それぞれ良いところがありますから。実際、カフェのデメリットにあげたものはギャラリーであれば問題にならないことがほとんど。どれもカフェの特性上仕方がないことなので受け入れて対策するのみです。さあ、一個ずつ見ていきましょう。

デメリット・搬入搬出が忙しい→カフェの場合、営業時間外に作品を運び込むことになります。定休日ならオーナーの休みを削ってお店を開けてもらうことに。開店前・閉店後だって慌ただしい時間です。だらだらやるのは論外ですが、一生懸命やっても時間がかかるんです。はじめてなら尚更。知人に声をかけ1人以上手伝い要員を連れていくことをおすすめします。私は友人に手伝ってもらいました。それでも大抵2~5時間くらいかかってましたから一人ならどうなっていたか想像すると震えます。

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デメリット・写真が撮りづらい→個展をしたという実績を形に残すため、今後の活動につなげるために絶対写真は欲しいです。でもそれがなかなか撮れない。お店にはお客様がいます。そこどいて~なんてわけにもいかないし、遠くからシャッターを押したものなら「キャー隠し撮り!?」とたちまち不審者になってしまいます。そうなるとチャンスは営業時間外。搬入搬出の日はそれだけで忙しいですから、写真を撮りに伺いたいけどいつがいいか?とオーナーに申し出ましょう。私は「最終日に撮ろう」とのんびりしていたせいで1枚もロクな写真が残っていません。トホホ。今回記事内で使っている写真はカメラ好きのオーナーがご厚意で撮ってくださったものです。本当に感謝感謝で頭が上がりません。皆さん!こんな奇跡ふつう起こりません。どうか私のように痛い失敗をしないよう、撮影日を確保してくださいね。

デメリット・作品に近づきにくい→こちらも「そこどいて~」なんてお客様にできません。見に来てくれた人や興味をもってくれた人のために作品ファイルを作りましょう。絵の写真・タイトル・説明などをまとめて閲覧できるようにします。ファイルを用意したらオーナーと相談して、席ごとに置く、関心のありそうな人に渡してもらう、など少しでも作品を味わってもらう工夫が大切です。

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デメリット(というより注意点)・額のガラスを抜く必要がある→これは額屋さんから教わったことです。万が一、客席に落下したとき割れたら危険なのでガラスを抜いた状態にしておきます。お店の方から直接お願いされたわけではないですが、どの店でも確認した方が賢明です。また額自体付けないという方法もありますよ。私は2・3回目の個展のときは額なしでいきました。額を買うお金がなかったという事情もありますが(泣)絵の雰囲気によっては額なしでもサマになります。

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気になるお金の話もしましょう。カフェだと3万円位から借りられます。都心か郊外かで貸出期間は異なり一週間~一カ月と幅もありますが、5万円ほどあれば大抵いけるはず。なかには貸出無料というところも!あまりHPに載っていないので直接問い合わせるのが一番です。聞きづらいかもしれないですが、お茶したあとお会計のときにチラッと聞いてみるといいですよ。

ギャラリーはどうしてもカフェに比べて高いです。当然といえば当然ですよね。札幌の中心部で高いところだと一週間で10万〜15万円。安いところでは1日1万円。く~~庶民の私はそれでも高いと感じてしまう。私自身ギャラリーを利用したのはグループ展で2回ほど。主宰ではなかったことと学生だったのもあって誰か負担してくれていたのか…まさかこんなにお金がかかっているなんて知りませんでした。

今回まとめるにあたって、先輩画家にも話を伺いました。色鉛筆画家の戸羽博史さん(HPはこちら)同じ札幌市に住んでいて、カフェ・ギャラリーともに豊富に経験されてます。昨年はミラノで展示もされました!ミラノのギャラリーの出展では20万円資金がかかるのをクラウドファンディングを利用して集めたそうです。そういう方法もあるんですね。こうなると「お金がないから」はできない理由になりませんね。たとえ私のように無名だろうと、資金が乏しかろうと行動できることはたくさんあると学ぶことができました。戸羽さん、貴重な経験談ありがとうございます。戸羽さんは絵画教室やクラウドファンディングのサポートもしています。生きた色鉛筆画、とっても魅力的なのでFacebookを覗いてみてください→https://www.facebook.com/hiroshi.toba.3

 

個展開催までのスケジュール

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こちらは私の経験を基にした一例です。実際はいろいろギリギリでした。動き出すのは1年前から、いやもっと前からでもいいです。特に油彩は乾くのに時間が必要で、何十点も描き溜めるのには時間がかかります。カフェへのアポも早い方が良いでしょう。人気店だと2年先までギャラリー予約がびっしり埋まっていることもあります。

アポを取っていざ打ち合わせ。注意事項・借りられる備品など確認します。普段からギャラリーとして貸し出しているカフェなら、規約や承諾書が準備されていることがあります。そうしたものがない場合でも積極的に質問して疑問点をつぶしておきます。このときに可能であればカフェの店内の大きさを測ったり写真を撮れるといいです。後から作品の選定・配置に役立ちます。

2~3カ月前には制作そのものより、販促品の準備で忙しくなります。DMを置かせてもらったり、ポスターを貼ってもらったりと周辺地域にお願いして周りました。会社員時代の個展では休みを利用して10~15箇所くらい行きましたね。なかなかしんどかったです。でもせっかく立派なDMを作ったのに配らないのはもったいない!と頑張りました。

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ポストカードやグッズを販売する場合、プライスPOPや什器も用意します。

作品は輸送中に傷がついたりしないよう、プチプチで包むのも忘れずに。こまごまとしたことが多いのでto do リストを作ると抜け・モレなく当日を迎えられます。

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会期中も積極的に足を運びます。毎日行く必要はないのですが、作家と会うのを楽しみにしているお客様も意外と多いです。作品を見て「どんな人だろう」と関心を持ってくれるみたいです。ふつうのお客様に混じって、絵の感想に聞き耳を立てるのもけっこう楽しいですよ。へへ…。

開催が終わったら、お店の人・手伝ってくれた友人・差し入れをくれた人へのお礼もしましょう。意外と皆しないのが、SNSでの終了報告。開催前は宣伝を頑張るのですが反応はイマイチで、なぜか開催終了の報告が反響があったりするんですよね。「えっ!やってたの?行きたかった!!」とか。あれなんで?とにかく理由は分かりませんが、行けなかった人も「次こそは」と注目する機会になるので終了報告、おすすめです。

 

カフェの見つけ方と申し込み方法

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そもそも個展OKのカフェってどうやって見つけるの?「カフェ ギャラリー ○○(地名)」で検索すれば見つかります。行きつけのカフェがあればオーナーに直接聞いてみるのも手ですよ。公にしていなくても壁を貸し出してくれるところがあるかもしれません。手っとり早いのは個展開催中のカフェに行き、作家と話をすること。「私も実は絵を描いていて個展したいんです。他にもこういう場所あったら教えてくれますか?」と尋ねれば生きた情報が手に入るうえ、「○○さんから貴店を紹介されて~」とお店の人に持ちかけるときもスムーズです。

目ぼしい場所を見つけたらいざアプローチ!私はメールしました。

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はじめまして、画家の川口ひとみと申します。2月にギャラリーをぜひともお借りしたいです!わたしは4月に北海道に移住したばかりで「北海道でも個展をやりたい!」という思いを抱えていたものの、どこに頼めばよいかオロオロしておりました。そんなとき画家の○○ ○○さんより貴店をご紹介いただきました。

ご都合よろしければ直接お邪魔して前回の個展の様子など見ていただきたく存じます。本日ですと何時でも可能です。平日ですと19時以降だと助かります。はじめてのご挨拶がメールで大変恐縮ですが、一刻も早く開催を決めたいと燃えているところです。ご容赦ください。以上、ご検討よろしくお願い申し上げます。

Facebookページ「福島発、チョコレートが好きな画家 川口ひとみ」

メール XXXX@Xmail.com

電話 0X0‐XXXX‐XXXX

今日はお出かけ日和ですのでカフェ○○様もにぎわっていそうですね。自家焙煎の喫茶店で2年勤務していたこともあり、ハンドドリップのコーヒーが大好きです。お邪魔する日を楽しみにしております。

△____________________△

このメールの後、初回の打ち合わせの日時が決まり、2回足を運んで開催が決まりました。1回目に作品を持っていったときは「世界観がバラバラすぎるからこのままでは難しい」となり1カ月時間をもらうことに。その間テイストを合わせた絵を増やしました。一発OKがもらえなくてもめげないでください。

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次の活動に活かすためには

個展は終わってからがミソ。興味をもってくれた人を逃さない工夫が必要です。次の個展の案内を届けるためには?今後も新作を見てもらうためには?と考えて私は2つのことをしました。

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まずは芳名帳を用意。来た人に名前を書いてもらいます。これって書くのが当然というわけでもなく、カフェでやる場合書かない人の方が多いです。だから少しでも書きたくなるように芯が虹色の色鉛筆を持っていきました。

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ポイントは名前の次。次回の案内をメールかハガキで出来るようにメールアドレス・住所まで書いてもらいたい。そこでメールアドレスと住所を記載してくれた方に「次回の個展の案内の際、ポストカード1枚を同封してプレゼントします」と特典をつけました。またちょっとしたことですが、芳名帳に事前に線を引いておきました。

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白紙のノートを買えば自由に線を引けます。だから…?と思われるでしょうが、たかが線、されど線。「名前だけ書いて終わるのはなんか寂しい」とついつい住所を書きたくなるくらい大きくスペースを取りました。

こうした小細工の成果か70名のお客様が記帳していってくれました。ギャラリーの場合受付があり、半強制的に名前を書かなければイケナイ雰囲気があります。しかしカフェは飲食が目的ですから、記帳は完全に任意。次につなげたいなら、いかに芳名帳の存在に気づいてもらい、いかに名前等を書いてもらうかが鍵となります。ぜひここは頭をひねってみてはいかがでしょう。

 

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二つ目はFacebookページへの誘導。当時メインで作品を発信しているSNSだったので、そのURL

https://www.facebook.com/estuary1103/を作家プロフィールの最後に載せました。

※現在は個人アカウント https://www.facebook.com/hitomi.shinkoq の方が更新頻度高いです。

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ポストカードの販売コーナーにも「検索してね」とPOPをつけたり、ポストカードSETの帯に記載したり、複数箇所で知らせることが大事だと思います。実際、私のページのフォロワー数が増えるのは個展の期間がほとんど。ネットの発信だけだと半年に一人くらいのペースでしか増えないのですが、一気に20~30人増えました。フォロワーになってもらい、日ごろは新作の情報を届け、次回の個展にも来てもらう。ネットとリアルをうまくつなげることでファンになってもらいます。

個展のメリットを期間中だけで終わらせるのか、次に活かすのか。工夫の余地は無限大!私の方法がベストではありません。開催後も恩恵を存分に受けられるように頑張って策を練りたいところです。

 

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以上、私自身の経験談でした。お付き合いいただきありがとうございます。いかがでしたか?未知の世界って怖いですよね。したことがない人にとっては個展をするってハードルがかなり高いことだと思います。今回の記事で追体験することでちょっとでも個展が身近になり、個展をする人が増え、作家とお客様がつながる機会が増えることを願っています。札幌市・福島市でしたらカフェの情報も提供できるのでご相談くださいね!ではでは。

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2014~2015 個展でお世話になったカフェはこちら

自家焙煎 珈琲グルメ http://www.coffee-gourmet.jp/

[食べログ]https://tabelog.com/fukushima/A0701/A070101/7000122/

Cafe Esquisse カフェ エスキス http://cafe-esquisse.net/

[食べログ]https://tabelog.com/hokkaido/A0101/A010105/1005686/

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原画、A4パネル、ポストカード、最新レジン作品販売中です。

ONLINE SHOP:夢川美術館 https://1103k.thebase.in/

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川口 ひとみ
油彩画家、兼レジン作家です。1991年夏生まれ。福島出身。中学1年から油絵を始める。現在は札幌在住。眠たくなるような絵、背筋の伸びる立体作品…SHOP 夢川美術館:https://1103k.thebase.in/
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