そもそもロストワックスってなんだよ
金属を使ったアクセサリーやジュエリーの製造において、いちばんハードルが低くて怪我の心配も少ないのがロストワックスとか呼ばれてる技法なんですが、なんでいまさら説明するのかというと、散々過去にジュエリー製作の記事があるのに、誰もヒトコトも基本的なその詳細について説明してないっていう驚愕の新事実が発覚したからです。っていうかいまさら気付いたからです。気づけよ!ポンコツ!クズ!アホ!タコ!ネギ!ニラ!ってわけで初心に帰り、ロストワックスってなんだよ、というみなさま素朴な疑問について、わたしのステキな手書きの絵と共に解説します。ロミ子です夜露死苦(自己紹介)。
まず、ワックスと呼ばれるロウのカタマリみたいなもんで原型を製作します。製作方法についてはこの項目が終わった後に説明するんだけど、とりあえず、柔らかくて溶けやすくて加工しやすいブツを使って、のちのち金属に置き換えられる原型ってもんを製作するわけです。
で、その原型の周囲を石膏なんかを使って固めちゃいます。
そんでもって、埋没された原型を溶かすと、石膏の中にその形の空洞ができるって寸法ですね。ワックスの原型が消えてなくなってロストしちゃうわけです。これが『ロストワックス』と呼ばれる所以です。
石膏の中にできた空洞に、銀やら金やらプラチナやらを溶岩のようにドロッドロに溶かした、高熱のやばいブツを流し込み、冷やしてから、周囲の石膏を破壊します。
するってえと、空洞に流し込んだ銀やら金やらのブツが固まって、ワックス原型と寸分たがわぬ鋳物ができるって寸法です。
折角苦労して作ったワックスの原型がなくなっちゃうなんて!とか思うなかれ、ときは流れ、季節は移ろい、森羅万象のものはやがて朽ち果てる運命です。人の心もしかり。永遠不滅なものなどありはしません。諸行無常です。猛き者もいつかは滅びる、ひとえに風の前の塵に同じ。南無阿弥陀仏。
もう自分でも何言ってるのか解らなくなってきましたが、ワックスの原型を作った後の『金属を溶かして鋳造』の工程は自分でやらずに業者サンに依頼します。家で金属溶かすとかこええもん!
今回は、(1)原型製作、(2)業者サンへの鋳造依頼、(3)仕上げ、という3つの工程をシリーズとして書いていきます。第1回目は『ワックス原型製作』と題しまして、ペンダントヘッドのワックス原型を製作する手順を紹介しますよ~。
それでは始めます。ふぅ~~~!(妙なノリ
石座(フレーム)を造形する
ワックスのみで原型をつくってもいいのですが、折角ですから石を使ってみましょう。
今回使用するのはコチラ、メキシコ産のカンテラ・オパール。メキシコつったら、タコス(おいしい)とギャング(こわい)くらいしか思いつきませんが、オパール(きれい)もあります。すごいね!メキシコ!
ワックスを糸鋸等を使って、丁度いい大きさにカットします。石が収まるのですから、もちろん石より大きめに切りましょう。
リューターに大き目のビットを装着し、石が収まる窪みを作っていきます。
石の大きさと比較しながら、リューターをゆっくり回転させ、慎重に穴を広げていきますよ~。
円形や楕円形ではない、ドロップ型の石なので、油性マジックなどで石の先端の位置にポイントし、ナイフなどで慎重に削っていきます。
石がピッタリ収まる窪みができました。
窪みにリューターで孔をあけます。
別に孔がなくてもいいのですが、身に着けたときの軽量化、ならびに地金代金節約の為に、石が後ろに落ちない程度に孔を広げます。
ナイフでワックスを好きな形に削っていきます。一気に切ろうとせずに、切り込みを入れた後に、余計な部分を切り落とすようにします。こうしないと、折角掘った窪みの淵が欠けたりしちゃいます。ちょっとずつ削り取っていきましょう。
荒く削り出したあと、サンドペーパーで滑らかにしていきます。ワックスの造詣は、ナイフで削る、サンドペーパーで整える、の繰り返しです。ちなみにこのカタチ・・・便座じゃないですよ。ペンダントヘッドの造形です。
他の部分も同じようにナイフで切りこみを入れて削り取っていきます。
荒く削りとって・・・。
サンドペーパーで整える。
240番~360番程度のサンドペーパーで形を整えたのち、傷を消すために400~1500番のサンドペーパーを順次かけ表面を綺麗にします。今回は400番、800番、1200番、1500番を使用して、ワックスクリーンを塗ったのちにストッキングのきれっぱしで磨いていますよ~。
そんなこんなで、石座のワックス原型、完成です。
バチカン的なものをつくる
石座だけではペンダントになりませんから、チェーンを通す部分も作りましょう。
適当な大きさにワックスを切り出します。お好みで。
リューターを使って、孔をあけます。
石座にこんな風に連結する為の孔ですよ~。
チェーンを通す孔もあけちゃいましょう。
あとは例のごとく、お好きな形にナイフで削り、サンドペーパーで形を整える、を、繰り返します。
ちょっとづつ形を整えて・・・。
石座と同じように磨いていきます。
石座とチェーン留め具の2つのパーツができました。
パーツを連結する
前述したようにワックスは熱で溶けます。その性質を利用して2つのパーツをくっつけていきましょうっていう魂胆です。
アルコールランプで熱したスパチュラや、ワックスペンで石座の連結したい部分を溶かします。
溶けた部分が固まらないうちにサッと!ササッと!連結します。で、ちょいと冷やすと(ほっとくと)固まって固定されますよ~。
連結したあとの気になる部分をサンドペーパー等で綺麗にしてワックスの原型、完成でっす!!!
いかがでしたでしょうか?さほど難しくもなく、大した道具も使っていません。
次回は、『業者サンに鋳造を依頼してみよう!』です。お楽しみみみみ~~~!
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