今日も金属を切ったり叩いたりしているCREER(クレエ)ですこんにちは。
今回はロウ付けの方法の一つ、前回の「置きロウ」に続き「差しロウ」について書かせて頂きたいと思います。置きロウがロウ付け箇所に先にロウを置いてから加熱するのに対し、差しロウはロウ付けしたい箇所を先に加熱しつつ、後からロウを差して溶かし付けるという方法です。では早速参りますよ。
丸カンを作る
色んなサイズの丸線が入っています。
この中から今回は直径3mmと1mmの物を使用します。径を測るにはノギスがあると便利ですよ。
0.7mmの銀丸線で輪カンを作ります。スチール線に巻く前に一度バーナーを当て、なまして柔らかくして下さい。先ず銀線の端は犠牲にするつもりでヤットコで直に挟みカーブを付けます。そのカーブ面をスチール線に添わせ、次は線に傷を付けない様に柔らかい布を当てた上でヤットコで固定してクルクルっと巻きましょう。柔らかくなっているので0.7mm位なら手で巻き付けられます。
こんな感じに。
この輪カンを切って行く訳ですが、作業効率と仕上がりを美しくする為にここで使って頂きたいのは糸ノコです。切っている写真を撮りたくて頑張ってはみたのですが、上手い具合に固定したぞ、と写真を撮ろうとした途端に輪カンがトゥルンッと滑って彼方へ飛んで行き捜索、というのを10回程繰り返したのでもう絵で良いじゃないですか、私頑張りましたよ。
ヤットコ、または指で挟み、すり板の安定が良い所で固定し、赤線の部分を切ります。以前糸ノコの使い方でも書かせて頂きましたがノコ刃には蝋を引いて下さいね。輪カンが全てほぼ同時に切り終わる様にモチーフに対して平行に刃を引いて下さい。ヤットコで挟む場合は間に布を噛ませるか、直に挟んだ場合は付いたヤットコ傷を後からヤスリで落としましょう。
最初はノコ刃を輪カンに対してやや前傾気味に立て、地金に刃を入れて導線を付けたら徐々に寝かせ、最終的に輪カンに対して刃が平行に入る様にすると上手く行くかなと思います。
切れたところ。
ノコを使うと継ぎ目が綺麗に合わさる様に切れるので後処理が楽です。油目のヤスリで切断面を軽く整えるだけで完了。
めんどくさい・・・大変そう・・・・手を切っちゃいそう・・・・という場合は金冠バサミで切り分けた後、切断面にヤスリをかけてロウ付け面がぴったり合う様にしましょう。もしくは既製品(その場合は「丸カン」で検索した方が出ると思います)を購入しても良いのですが、その場合その製品のメッキの有無を確認してメッキ無しの物を選んで下さいね。あと既製品ですと自分に都合の良い線径や外径は選べません。
差しロウでロウ付け作業をする
0.7mm線が通る位のお好みのチェーンを繋ぎます。ここで使用しているのは2cmにカットしたコモキンの「5-8 SV ミツアミ 0.45φ」を4本。
ロウ付け作業がし易い様に継ぎ目を同一方向(この場合は上)にしますよ。
火を当てながら流れ作業でフラックスを塗っても良いのですが、今回は先に緩めに溶いたものを継ぎ目に塗っておきます。
火を当ててこれからロウ付けする輪カンの温度を上げながら(チェーンには極力火が行かない様にして下さい)
ロウを差します。これは2分ロウですが、5分で問題ありません。慣れない方は7分位から練習しても良いと思います。
これも図解で・・・両手が塞がってるんだから写真撮れないじゃないですか・・・阿修羅像じゃないんだから・・・。言葉で説明するのは難しいのですが、先ず火を当てて先に輪カンの温度を上げ、そのまま火を当て続けながら、ロウ付けしたい箇所に狙いを定めてロウを差して下さい。上手く行くとロウが直ぐに玉状になり、継ぎ目に溶けて入って行きます。この時火に集中し過ぎるとロウを溶かし損ねて枯らしてしまったり、ロウに集中し過ぎると今度は火の調節が疎かになって地金を溶かしてしまう恐れがあるので、火とロウの両方に気を配る様に注意しましょう。
ロウ付け出来た所。差しロウの良い所はロウを狙った所にピンポイントで差せる為、置きロウの様に思わぬ方向にロウが流れていく恐れが無いこと事と、チェーンの様に沢山のロウ付けが必要な場合、火を一々消したり外したりする事無く連続でロウ付け作業が出来る所かなと思います。
とにかく慣れが必要なので、練習、練習、練習して身体で覚えましょう。
丸ピンを作って組み立てる
丸ピンも既製品がありますが、銀線、フラックス、バーナーがあれば簡単に出来ますのでお試し下さい。
0.5mmの丸線を14本用意。この後通すパーツのサイズによって変わりますが、こちらは大体14mm位にカットしています。
先端にフラックスを塗って
火を当てるとフラックスを塗った部分がチュルチュルっと丸く溶けます。この玉の大きさは揃えても良いのですが、個人的にはマチマチの方がデザインの一部になって好きです。
全部溶かしたら
酸洗いして磨きます。
今回は7mmの淡水パールを使用しますが、お好みのパーツをご自由にお使い下さい。これからの時期はパステルカラーの石や、ハーキマーなんか使っても可愛いと思います。
1mmのスチール線にヤットコでクルッと巻きつけます。
この後余った線を2回程巻き付けますので、輪とパールの間に少し隙間を開けておいて下さい。
7粒のパールを2-4(左右に2粒ずつ)-1に振り分けて輪カンに通します。ここでは纏めて付けてしまいましたが、一つずつ通してその都度巻いた方がやり易いと思います。
小さ過ぎて指で掴めないので、ヤットコ2本を使って巻いて行きます。輪をヤットコで挟み、もう一つのヤットコで余った銀線の先端を挟んで巻いて下さい。写真では見やすい様に直に挟んでいますが、輪を挟んでいる方のヤットコとの間には布を噛ませましょう。
2重に巻いたら余った線を金冠バサミでカットします。巻き終わりは引っかかりになりやすいので、しっかり最後まで巻き付けて下さいね。
同様に全て巻いていきます。
次はスタッドピアスを作るのですが、なんと写真に撮るのを忘れてしまいました。
以下微妙な絵と文章のみでスタッドピアスの作り方をお届けします
「ピアス 直皿付」とか「皿付」とか皿とかいう、こういう形状のピアスポストがありますので、それに片穴(貫通穴ではなく石の片方のみに穴が空いたもの)の石を接着します。ここでは7mmの淡水パールを使用。
接着剤を付けた爪楊枝をパールの穴に挿し込み、穴の中全体に薄く満遍なく付けます。爪楊枝を抜いたら穴の入り口が軽く塞がる程度に改めて接着剤を足してポストの皿に差し込みます。差し込んだらパールを回転させて接着剤を均等に行き渡らせて下さい。接着剤を付け過ぎて激しくはみ出してしまったら綺麗に拭き取りましょう。あとはスポンジ等に差して接着剤が乾くのを待つだけです。
接着剤は金属に使えるエポキシ系のもので、売り物にするのであれば長時間かけて硬化するものを選んで下さい。因みに私が使用しているのはアラルダイトスタンダードで、12時間かけて硬化するものです。
ポストが完成したら先に作ったパーツを通します。
完成。
大粒の淡水パールを使用しているので華やかな雰囲気。
パーツを外すとシンプルなスタッドピアスになります。
1つで2度美味しい2wayピアス、是非色々な石で作ってみて下さい。
ではまた。
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