毎度!五助屋レザーです。
前回の内容(馬蹄型コインケースを作ってみよう!① 型紙のつくりかた)は、どうだったでしょうか?ちょっとまて・・・これ、冷静に考えたら、作っているよりはるかに書いてるほうが時間掛かるぞ(笑)
ふだんブログを書いているときは、まったくそんなこと無いんだが、拙いですが、こうして文章にするってのは大変なのかもなんて、もう8年ちかくブログを書いているのに思ったりするわけです。まぁ、そんだけ普段手を抜いてるって事にもなりますがね(笑)
さて、『馬蹄型コインケースを作ってみよう!』第二回目、前回の型紙と基本的な考えは伝わったでしょうか?
今回は『馬蹄型コインケースを作ってみよう!② 下拵え』です。では続きを始めましょう。
下拵え
型紙を作りトレースして切り出します。さぁ組み立てだ!とはならないのが、革細工。ここでしっかりと手間を掛けることでぐっと完成度が上がるので頑張る所なのです。今回は、えーそんなの出来ない!といきなりハードルが高いかも知れませんが、ちょいと頑張って読み進めて!
ちょっと考え方を変えたら出来る!というのが分かると思うから!
革漉き 厚みを調整する
やはり、大事なのは計測機器だと思うのだ。
書いてあった通りにやったのに違う!って言う前にその計測機器って・・・。という粗悪品が溢れかえってる。定期的に校正に出したりはしてないであろう。型紙をキッチリつくって計算の通りと思っても計測機器が狂っていたらもう、どうにもならないよね。計測機器だけは、ちょっと良い物を揃えたいというのが、僕の考え。国産がいいよね、やっぱり。
1.45ミリ小さいメモリが1大きいのが45っていう感じに表示されている。コレは外マチになるパーツ。
やっぱり有ると仕事が圧倒的に速くなる革漉き機である(無くとも出来る)。
アウターを2ミリにしたいので裏貼り用の革0.55ミリに対して、
1.45に合わせたアウター。
厳密に言えば接着剤と言うのがあるが、そこまでシビアじゃない。1/100は許せ。
そんなシビアなの?まぁ読み進めてちょ。
革漉き機がなくとも手動で漉く方法はいくらでも有る。大まかに漉いて、と簡単に書いているが、ウゲっとか、ぐはっ、ひぎゃぁぁあ、なんて声をどれだけ出した事か(笑)
あまりに攻めすぎて穴が空くというアレだ。だがしかし、失敗なくして上達なしである。ココラへんは頑張る所だね。革漉き機が無い頃は、まぁ、よくやったてたね。んで革漉き機の偉大さをいやと言うほど味わった。
平面を出す。こんな風に経験を積めば0.1ミリ位は手作業でも揃える事は出来るのだが、そうじゃない。根本的なところを身に付けて貰えれば、今持っている革の厚みを計測してそれに合わせた型紙を作れば良いことなのだ。僕らは数上げてナンボという事も有るので抜き型を作ってその計算された厚みに合わせるというのが通常である。んだからこのシビアさってのは、その場所がずれているという事になる。革の厚みに合わせてシビアに型紙を起こすのか、設計の通りにシビアに革を漉くのかって所だ。漉きが苦手だと言う方もこれならば、ぐっと敷居が下がったと思いません?
今回と同じ型紙でもたとえば2ミリ厚の革があれば外マチは折り返さない形状にして内胴をポケットなしの一枚革でアウター裏貼り無しにすれば出来るのだ。1ミリ厚の革ならばアウターを二枚重ねにすれば良しである。そして、2Dで考えられる物と違ってこの馬蹄型のコインケースは立体なので3Dだ。裁断の時の直角、垂直、前回書いた微妙に絞るみたいな角度と言うのが重要になってくる。
そこらに関わる工程を書こう。
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接着
厚みを調節したら次は接着という工程に移る。
キーホルダーを作ろうの回で色々書いたね。ゴム系のボンドでの手順だ。
外マチを半分に折って接着するわけだが革って折れやすい方向やクセが有る場所があったりするのだが、毎回良い方向に切り出せればよいがそうではない場合も有る。なので、先に折って軽くゴムハンなどで叩いてクセをつけておくと後の接着が楽になる。
使いやすい濃度にしたボンドを塗る。
先に折ってしまっているから角にボンドがたまり乾燥しずらいので、ちょっと塗るときは刷毛に付く量を加減しながら塗ろう。乾燥を待つ間に(ゴム系ボンドは半乾燥状態で貼りあわせる)・・・。
きちんと切り出せたかな?アウターを折って確認この大きさの違いが外マチの厚みである。今回は2ミリ。
使う革にもよるが、硬く張りのある革を使う場合など貼りあわせる前に何度か折って柔らかくしておいたほうが良い場合もある。あまりココでグリグリすると始めに設計した寸法が意味を成さなくなるので程々に。
裏貼り用に薄くした革も同様。
こちらもボンドを塗布して乾燥させる。これが季節に大きく左右される。乾かない時期、セッカチな自分はパタパタしてる(笑)。
机の角などを利用し・・・。
45度位かな?曲げて貼る。裏を全面貼る場合と部分的に貼る場合、裏なしで磨きでとか、ココラへんはどれも一長一短があるのでお好みで良いと思う。一番簡単なのは裏を貼らないで磨きも入れない。革の厚みにより表と裏どちらかが柔らかいほうが曲げ伸ばしはしやすいよね。両方硬いと曲げ伸ばししずらくなるのでその部分だけ薄くする、揉む、はじめから少し曲げておくなどそんな風に工夫するのが良いと思う。
先ほどボンドを塗布し乾燥させていた外マチパーツを半分に折って接着した所。この上の断面がアウターへの接着面となるので段差は好ましくない。
はじめからココの調節が必要無いくらい精度良く接着するのが理想では有るが、
出た部分は裁ち落とせばよい。コレは革包丁。
革包丁は一般的には片刃である。この写真では右側が平らな裏刃で左が鎬(しのぎ)面だ。普通に垂直にした刃で裁てば切断面は斜めになってしまうだろう。
なので、そこを考えながら右に傾けて使うのがセオリーである。なんだか使いにくそうだが右に傾けたほうが刃の当たる場所が良く見えるというのは利点。
難しく考えないで普通に使えば普通にそちら側に傾くような気もする。ずーっと昔から日本ではこの形なので理にかなっているとは思う。後で出てくるがラウンドナイフなど西洋の刃物は押して切る。日本の刃物は引いて切る。これは鋸なんかにも当てはまるよ。
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出っ張った部分を垂直に当てたヤスリで削ってしまうというのが楽ではあるが、その場合の注意点。
ほら、このバリのようなのは、
取りたくなるよねぇヘリ落しで。今回は駒合わせ縫いという技法で縫い合わせるので角を丸くしたくないのでヘリ落しは使わない。当てる角度を水平にして使うというのも有りっちゃぁ有りなんだが・・・。
取るならば、水平に薄刃カッターでさらうと良い。両側さらうほど削ってはならない。片方だけでその面は内側で隠れるようにしたいね。
外マチほ角をこのまま定規を当てて裁っても良し。
卦書いてから裁っても良し。
R抜きがやっぱり確実で好き。角を丸くするだけでも色々あるよね。お好みで。ここね折り返しのほうから側面にR。普通はどんなものでも逆だから何にも考えないと間違ったほうにRを付けちゃう。わかっちゃいるけどやらかす所だからちと注意ね。
あたくし、両利きで右左の区別と言うのが曖昧なので、左右反対とかよくやらかすのだ。さすがにこれだけやってると、最近はそんなヘマもしなくなったがレザークラフトをやり始めた時はもう、呆れるほどやらかした(笑)
裏貼りした革の余分を裁つ。先ほどは革包丁を使ったが、ココではラウンドナイフを使っている。両刃の刃物なのでその刃先の角度でピッタリに余分を裁つのは、なんだかやりにくそうなイメージで有るが、案ずるより生むが易し。使いやすい。
カッターでも包丁でもラウンドナイフでもお好みでやってもらえば良いと思う。ここらへんの刃物のアレコレってのも書いたら面白いかな?
磨いたり貼ったり磨いたり
ココからは、こんな作業が始まる。
ま、手順で乾燥待ちの間に次はコレとかそうすると早い、効率がいいなんて考えるのが好き。レザークラフトをやり始めた時は、その工程を頭の中で考え始めると止まらなくなって寝れないという事があったっけ(笑)。
フノリを接着面に付かないように塗布し磨く。
内マチは、ちょっと強度が欲しいので厚みを増したいので裏に革を貼るわけだがこうして曲げて貼りたいのだ。
それでもこうして余分を裁つと内側の方が高くなっているのが分かるかな?はじめからこの角度で貼れば良いのだが有る程度厚みがあると今度は切る時にちょっと切りにくいからこんな感じで良しとする。
平らに均す。次回になるかな?ここ少し斜めにしたりするから後でもう一度削る事にもなるがこの時点で横の面と直角で面を出したい。外側の面にバリが出るほど削らない事。
アウターの外周や、
外マチのココ。
内胴のポケットの口とツマミもこの時点で磨いておく。お好みで捻を入れても良いね。ビシッと焼き締めてある雰囲気が僕は好き。
このタイミングで刻印を。アウターに入れるならば、出来れば裏貼り前かな。
ツマミの位置を出します。この位置とか、
外周を縫うときに一緒に縫うならココ。
ここに小さくポイントを打っておくネジ捻引いたり縫うための穴を開ける工程、菱目を打つ時の目安になるよ。
裏にもポイントを打って、
ディバイダーでマチの厚みにあわせて、
線を引く。
内マチは当然厚いので幅も広い。
削り包丁で接着面を荒らす(エエのデビューさせますよ~)。
内胴下になる方の接着面も荒らして接着しコバを磨く
今回は、ツマミはカシメで。ココは縫い付けても良し、ヘリと一緒に縫っても良し。穴を開けて紐でも良し。キッチリいい形状だったらツマミがなくとも側面を押せば開いたりもする。
刻印足してみた。
次回はようやく縫いの工程だ。駒合わせ縫いって奴だね。
お楽しみに!
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