牛革の種類について

五助屋レザー作業場

どもども。五助屋です。

ちょいちょいと記事を書かせてもらっているのだが、ずーっとずーっと始め。一番初めに戻って革ってなんだよ?

どういう違いがあるんだ?っていう所から書いてみようか。まぁ、あちらこちらに書かれているとも思うのだが、僕なりにわかりやすく伝えられたらなーなんて思う。革細工をしている人が多く読んできるページであるとは思うのだが、いまいちよくわからんな?とか、自分の持っているアイテムはどんなものなんだろう?と言う時にそのアイテムを見て想像してもらえたらなと思う。

安い買い物ではない革だから、ちょっとお勉強をして、間違いの無い買い物をしてもらえたらと思う。コレを知ってから始めても良いんじゃないかなーなんてね

キーホルダーを作ってみよう ① 型紙のつくりかた

まぁ革といえばまず浮かんでくるのは牛であろうかと思う。そう。牛革である。世界的に見ても一番多く使われている革だよね。お肉として我々が頂いた物の副産物。そういうことなのです。

日本では豚革も多く作られているがほかにも、ワニだトカゲだエイだゾウだと始まるともう、書いても書ききれないので今回のターゲットは牛だ。鮭なんかも流通してるみたいね(笑)

んじゃ、いってみようか。

 

レザーとスキン

 

革と皮 鞣しによる分類


これの違いとは原皮(皮、スキン)から植物から採られるタンニン(渋)で鞣し(なめし)たものをタンニン鞣しの革。植物タンニン鞣しとかベジタブルタンニング、ベジタンなんていわれているのが一つ。もう一つはクロム鞣しといい薬品で作られた革の二種類。いや、両方のコンビ鞣しなんていうのもある。大別すると多くの流通している革はこの3種であるといえる。

 

クロム鞣し


薬品を使う近代的な方法で、早く均一に多く作ることが出来る。普段目にする革製品のほとんどがこのクロム鞣しである。柔らかで軽量で水などにも強く僕が良く使うタンニン鞣しが一番!って事ではない。適したアイテムとか場所があるのだと思う。綺麗な発色ですばらしいクロムの革も多数存在する。重たい重厚な鞄もいいけれど多くの人は軽いものを好みますよね。経年変化というキーワードがもてはやされているが、それを嫌うメーカーも多い。

一見したたけだと、これってどっちだ?ってのも有ったりするが、簡単に言うとコバを磨くのが非常に大変な革なのだ(磨けないことは無い)。

 

タンニン鞣し


太古の昔から続く製法でありミモザ、ケブラチョ、チェスナット。。。などなど。これらは、木である。これらの木の樹皮などから取られる渋を使うのだがその種類によって風合いが異なる。配合の量や時間、温度などによりさまざまな個性のある革が生み出される

ピット槽といわれる、プールのような所に漬け込む。濃度が薄いところから濃いところへと移して行き長い時間掛かる方法とドラムを使って強制的にタンニンを叩き込む方法がある。やはり、時間が掛かる製法の物は採算が合わず廃業してしまったという話もあるが近年その革の風合いが見直され昔の製法を復活させた工場も存在する。味の出る経年変化を楽しめる僕の好きな革がコレである。


新しい物と使い込んだ物。同じ革だけどこんな変化を楽しみたいよね。

 

鞣す時期


牛だって蚊に食われればかゆいよねぇアブやら蜂やらにも食われる。尻尾ブンブン振って払っているようなのを見たことがあるであろうかと思う。

数ヶ月という長い時間が掛かるタンニン鞣しの革だとそこから逆算して春に取れた原皮だろうと想像しその時期に多く仕入れる方もよく耳にしますね。そういういい時期に原皮を大量に仕入れ冷凍保存するタンナーもあります。よーく見ると有刺鉄線かなんかで怪我した?これ虫に刺された痕だろなんてのが発見できることもある。

運悪くそんな虫に食われた場所に気が付かず切り出してちょうどこれが折り目に来たという画。革という素材は、生きていた物であり歴史が有るのだからこういうことは、あって当たり前。こういう偶然を楽しみたかったりもするんだよね。多くの革を扱っていると、かえってこういう偶然は価値が有るという作り手の目線なんだが一般的には受けないというかメーカーさんから依頼されるお仕事などは、はねられたりしたり・・・。こういうのってイイ味になるんだけどね。

シボをつけた革とスムースな革。うっすらトラ模様の革。同じものは無い一期一会といういのも革の魅力なんだと思う。

 

その他


通常は皮は腐らないように塩漬けにされて売買されており、塩抜きしてから革へするためにいろいろとするわけだが、塩漬けにせず鞣すのをフレッシュハイドと呼ぶこともある。

これら革を鞣す工程を行う場所をタンナーと言うのだがこのフレッシュハイドを行うタンナーは自社で牛を飼っているということなのだ。


型押しといってこんな風に後から模様を付けたりすることも有る。揉んだりまたは、薬品でつけるシボなんていうのもまた魅力の一つですね。

 

産地による分類

お肉を食べる国には皮が出るわけだが、子牛を好んで食べる国もあれば大きく育てて重さあたりの価格を下げて多い量を流通させる国もありこれから書く年齢による分類でその国の供給量がなんとなく想像出来るのではないかと思う。

革のウォッシュ加工でくしゅっとかわいいブレスレットを…

 

年齢による分類

 

ベビーカーフ


生後3ヶ月までの仔牛。

最高級!!!!っていわれている次に書くカーフスキンよりもさらに肌理が細かい、まさにこれぞ最高級といわれる革なのだが、普通に考えて大きく育てお肉としていただく牛である。

供給量が極端に少ないので当然高価である。

 

カーフスキン


3ヶ月ぁら6ヶ月以内の仔牛の革(なぜカーフレザーと言わないかは後述しよう)。

最初のベビーカーフを読んだらもうわかると思うんだが、そうそう無いベビーカーフは、おいといて、普通に最高級といえばこちらである。6ヶ月以内というだけで傷が少ないし繊細であり肌理が細かく、しなやかで
若い牛だけに傷が少なく、加工されて出来た革は、繊細でキメが細かく美しい。

んでもね、いい事ばかりではないのだ。そう、革自体が薄いんだよね。これはベビーカーフも同じ。そして小さい。なのでカーフで大き目のバッグをなどというと、とてつもなく高価になるのがお分かりいただけるだろうか。そして厚みのあるハードな使い方をするようなアイテムにも向かないのである。

わりと均一な銀面であるから、その傷やトラももちろん無いので好まれる傾向にあるがそれも味であると思うし、なにより、そんなに均一できれいな表面がほしいならビニールのほうがいいんじゃね?などと言う方もいるね。高級メーカーの高級ラインナップの綺麗系のアイテムに使われている。原価ももちろん高いから高価にはなるね。

 

キップスキン


生後1年以内の牛の革。

ここまでがスキンと言われるのだ。なんだかややこしいねぇ。これ以降にスキンという名前はつかない。カーフより半年大きくなった牛である。カーフに比べればやや肌理は粗くなるがそれでも一般的に流通しているものに比べれば上質といえる。

厚みもやや増しており強度が必要なアイテムもここらあたりから使える。

 

ステアハイド


生後2年以上の去勢済みオス牛の革。

基本的に若いうちにオスの牛は去勢されてしまうのです。そのままだと、気性が荒く喧嘩して傷だらけになっちゃうから。銀面の綺麗さと肌理の細かさ、革の厚みなど一番バランスが取れた革であると思います。
いわゆるお肉の副産物として一番出てくる革ですね。

 

カウハイド


生後2年以上の出産経験のあるメス牛の革。

ステアハイドよりも薄くて柔らかく肌理が細かいのが特徴、なんだか肌理肌理とそれだけが判断基準のような書きようになってるがそんなことも無いのだが、なんだろう書いておいて言うのもおかしなもんなんだが非常に難しい。ベリーというと部位を表すのだが(お腹ね)が出産してるから革が伸びやすくて繊維が粗いというかゆるい感じ

 

ブルハイド


生後3年以上の繁殖用のオス牛の革。

ステアハイドは、虚勢済みでしたね、こちらは、去勢していない繁殖用、ようは、種牛です。気性が荒くて喧嘩するしぶつかるしで革の表面に傷が多いです。いや、ほんと多いです。仕入れるとびっくりしますw分厚く硬く丈夫であります。

そのダイナミック?っていったらアレですが、ワイルドな表情を生かすアイテムとか靴の踵とか工具をぶら下げるような見た目とかじゃなく頑丈なアイテムに合いますね。

 

どうやって切り分けるの

 

丸革


そのまんまの形 蛇や鰐は腹からとか背中から割ったものの有るが牛は腹割りだね。

 

半裁


頭から尻までまっ二つ左右に切り分けた革。

 

ダブルショルダー


腹から横に切った肩側。

 

ダブルバット


腹から横に切った尻側。

 

クロップ


半裁からベリー(お腹の緩い場所)を取り除いた革。

それぞれ場所により特徴がある。生きている牛を眺めれば分かるが尻はしわが無くツルっとしてるね。首周りや足の付け根はもちろん良く動くからしわも多い。

しわが無ければいいという物でもない。それを生かしたアイテムを作るべしだし、部位によっての特性を掴んでパーツ取りをしよう。曲がりやすい方向とか色々ありますが、本に書いてある事、ネットで見た情報が全てではないです。自分で切って折って確かめて感じるのが大切だと思います。


色々書いたが、やっぱりこういう風に味が出る革が好き。

 

まとめ


どうでしょう。。。。お勉強っぽい話だったからつまらんかったかな?

これくらいの知識があると、フランス原皮でイタリアのタンナーがピット槽で鞣したステアのダブルショルダーだよとか言う会話が成り立つのだが、そんなことより目で見て触って感じて!って方が大事かなと思ったり・・・。

って今まで書いたこれ、全否定かよ(笑)。

 

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現役革職人 メーカーOEMとオーダー品を作りながらそれにまつわる道具の開発、販売、教室などなど。。。。。手を広げすぎてにっちもさっちもいかず規模縮小を願う人
[ 牛革の種類について ]レザークラフト2017/03/08 13:42